醤油・味噌醸造元
秋田県湯沢市岩崎字岩崎162番地


醤油・味噌醸造元
秋田県湯沢市岩崎字岩崎162番地

ゆったりと流れる皆瀬川にほど近い湯沢市岩崎地区は発酵食文化が古くから根付いています。安政2年に醤油醸造を始めた「石孫本店」は、雄勝でも最も古い醸造元です。今年で創業170周年を迎える石孫本店では、今も創業時と変わらぬ製法を続けています。

今回ご案内してくれたのは、代表取締役社長の石川果奈さんです。「全国で多くの醸造元が機械化し、昔ながらの造りを今も続けている蔵は希少です。古臭い造り方が、今では一周回って希少になったということですね。受け継いできた技法でしか生み出せない味わいや香りがあるし、それが石孫である所以だと思っています」。



味噌は春と秋など年間で数回の仕込みを行います。大きな蒸缶で大豆を、甑で米を蒸し、蒸した米には種麹を混ぜ、麹室で2昼夜かけて麹を造ります。途中、麹蓋と呼ばれるお盆のような木箱に種麹を混ぜた蒸米を手作業で小分けにします。仕込み中は、毎日朝夕250枚の麹蓋を手でほぐす作業を行います。手をかけて出来上がった麹を室から出すと、蔵には甘い香りが漂います。


一方、醤油の仕込みは年に一度、真冬に行われます。味噌と同様、大豆を使いますが、醤油には麦も使います。麦を焙煎する「麦炒り機」はレンガ造り。2014年、老朽化していた麦炒り機を先代の社長が改修しました。「先代は全国に数軒しか残っていない代物だと聞いて、あと100年使えるようにと修繕を決意したと聞いています」と七代目が教えてくれました。



「2011年には大震災と大雪により、一号蔵が壊れてしまいました。醤油を醸す、最も大きな蔵でした。それまで原料倉庫として使っていた蔵を改装して、無事だった木桶を移設しました。ただ、新たな蔵には蔵付き酵母がいません。それをきっかけに、秋田今野商店さんに蔵付き酵母を抽出していただきました。それが『いしまご恵比寿酵母』です」。
また、3年前(2022年)には木桶のタガが緩んでもろみの重さで底が抜けてしまうトラブルも。秋田県内の杉桶樽の伝統工芸士である佐藤秋男さんに依頼し、修理を行いました。さまざまな苦難を乗り越えてきた陰には、技術の継承を途絶えさせたくないという強い思いを感じます。


秋田県が認定した発酵ツーリズム拠点にもなっている石孫本店では、蔵見学の受け入れや、ワークショップの実施を行っています。
「日本食文化の基礎ともいえる醤油、味噌は台所や食卓でも馴染が深いもの。一方で何を使ってどうやって作られているかを知らない人も多い。材料や工程を見ていただき、いかにこだわって作っているかを知ってほしい」。
また、コロナ期に県外から受け入れができなくなったときには、県内の方が訪れる目的を作るため、土日限定で「石孫ラーメン」の提供を始めました。
「うちの醤油は県内・県外のラーメン店でも使っていただいているので、それをきっかけにいらっしゃる方もいます。県内の方にも足を運んでいただいて、蔵でしか感じられない雰囲気や香りを体感していただきたいですね」。


七代目に就任した石川果奈社長に、今後の意気込みや取組についてお伺いしました。
「頑固なまでに機械に頼らずにやってきたことで全国的にも稀有な蔵であると評価されるようになりました。先代である母が見つけたその価値をしっかりと打ち出し、裾野を広めるための取組をしていきたいと思っております。170周年記念としてより石孫の味と香りを凝縮させた再々仕込醤油や、うちの木桶を修理してくださった佐藤秋男さんの杉桶樽に入れた味噌、みそたまりを使ったバームクーヘンを発売する予定です。これからもお客様の信頼を裏切ることなく、丁寧な手づくりの商品を造り続けたいですね」。


古来の伝統製法を頑なに守り続けて仕込んだ昔ながらの純正醤油「百寿」、若い杜氏が生み出した米麹の甘みを加えた「招寿」、味噌の旨味成分を濃縮させた「みそたまり」。こだわりの3種を合わせました。

秋田の新ブランド米サキホコレに男鹿の塩、湯沢産大豆とオール秋田素材で仕込んだ「サキホコレ味噌」、高機能玄米“金のいぶき”を用い塩分を30%控えた「金の蔵」、仕込から三年間かけて長期熟成させた「黒味噌」。贅沢な3種の味噌を詰め合わせました。

有形文化財の蔵に鎮座する巨大な秋田杉の木桶で、蔵人が手間ひまを掛けて仕込んだ醤油・味噌を厳選。最も香りよく出来る桶で仕込んだ再仕込み醤油「芳寿」、米麹をたっぷり使った「吟醸孫左エ門味噌」、長期熟成で旨味の増した「黒味噌」のセットです。

安政二年創業の醤油・味噌醸造元。創業当時とほぼ変わらない製法で、機械などの導入を行わず、愚直なまでに手作りにこだわっている。蔵付き酵母「いしまご恵比寿酵母」によってゆっくりと醸された醤油と味噌は芳醇な香りが特長。多くのファンを魅了している。