「しょっつる」と聞いて、ピンとくる人はどれくらいいるでしょうか?実はこの調味料、日本の魚醤の代表格であり、秋田県の郷土料理には欠かせない存在なんです。独特の塩味と深いコクが特徴で、鍋料理はもちろん、炒め物やパスタに加えても驚くほど旨味が増す万能調味料。
そこで今回の記事では、しょっつるの名前の由来やナンプラーとの違い、おすすめの料理レシピなどを詳しく紹介していきます。
しょっつるとは?
しょっつるは、日本三大魚醤のひとつに数えられる秋田県の伝統的な発酵調味料です。主に秋田県の県魚であるハタハタを塩漬けにし、樽で1~2年ほど発酵・熟成させた後、濾過して造られます。その独特の製法により、魚の旨味が凝縮され、深いコクと豊かな風味を持つのが特徴です。
一見、塩辛さが際立つように思えますが、実はアミノ酸を豊富に含んでいるため、料理に少量加えるだけで旨味がグッと増し、味に奥行きを与えてくれます。特に、秋田の郷土料理「しょっつる鍋」では、ハタハタや野菜とともに煮込むことで、スープにまろやかな旨味が溶け出し、絶品の味わいに仕上がります。
また、しょっつるはナンプラーの代わりとしてエスニック料理に使ったり、炒め物やパスタの隠し味としても活躍します。魚醤ならではの深いコクがありながら、クセが少なく、幅広い料理に応用できるのも魅力です。
しょっつるの名前の由来は?
しょっつるの名前の由来は、秋田の方言「塩汁(しおつゆ)」が訛ったものだと言われています。秋田弁では「汁」を「つゆ」ではなく「つる」と発音することがあり、「塩汁」が変化して「しょっつる」になったと考えられています。これは、しょっつるが塩気の強い魚醤であることを示しており、そのまま「塩の汁」という意味になります。
また、秋田の漁港では、昔からハタハタを使って各家庭でしょっつるを作っていた歴史があり、地元の人々にとっては馴染み深い調味料です。名前だけ聞くとちょっと変わった響きに感じるかもしれませんが、その名前には秋田の伝統や食文化が詰まっているんですね。現在では、しょっつる鍋をはじめ、和食や洋食にも活用される万能調味料として注目されています。
しょっつるとナンプラーの違いは?
しょっつるとナンプラーはどちらも魚を発酵させて作る魚醤ですが、原料や味わい、使い方に違いがあります。しょっつるは秋田県の伝統的な調味料で、主にハタハタを原料にして作られます。ナンプラーはタイの代表的な調味料で、主にカタクチイワシが使われます。しょっつるは発酵期間が長く、まろやかで塩味が強めなのが特徴です。
一方、ナンプラーは発酵期間が比較的短く、魚の旨味がダイレクトに感じられるエスニックな風味があります。しょっつるは和食に馴染みやすく、鍋料理や煮物、炒め物に適しています。ナンプラーはタイ料理をはじめ、エスニック料理に欠かせない調味料で、炒め物やスープ、ドレッシングなどに活用されます。どちらも料理に深いコクを加える調味料なので、料理に合わせて使い分けると、味の幅がぐっと広がりますよ。
しょっつるを使ったおすすめ料理10選
1. しょっつる鍋 | 秋田の郷土料理
鍋に昆布だしを入れ、しょっつる、酒、みりんで味を調えます。そこに、ハタハタ(またはタラやサバなど白身魚)、白菜、豆腐、セリ、キノコ類を加えて煮込みます。仕上げにネギを加えると、より風味豊かに。しょっつるの独特の塩味がスープに溶け込み、まろやかで深みのある味わいに仕上がります。
2. しょっつる焼きそば | 魚介風味のアレンジ
フライパンでベビーホタテやエビ、イカなどの魚介類を炒め、キャベツ、もやし、にんじんを加えます。麺を加えたら、醤油の代わりにしょっつるで味付けし、仕上げにごま油を少し加えます。魚の旨味が際立ち、いつもと違う深いコクのある焼きそばに仕上がります。
3. しょっつるチャーハン | 旨味たっぷりのアレンジ
卵とご飯を炒め、ネギ、ハムまたは海鮮(エビ・ホタテなど)を加えます。味付けは、醤油の代わりにしょっつるを少量加えるだけ。最後に胡椒とゴマ油を加えると、香ばしさが際立ちます。出汁を取らなくても旨味が強いため、短時間で深みのある味わいに仕上がります。
4. しょっつるパスタ | 和風ペペロンチーノ
オリーブオイルとにんにく、鷹の爪を炒め、茹でたパスタを加えます。味付けにしょっつるを数滴加えるだけで、魚介の風味が効いた絶品パスタに!シーフード(アサリやエビ、イカ)を加えると、より旨味がアップします。
5. しょっつるバターソテー | 鶏肉・魚・きのこにぴったり
フライパンにバターを溶かし、鶏肉や白身魚、エリンギや舞茸などのキノコをソテーします。最後にしょっつるを数滴加え、全体に絡めると、コクのあるソースが食材に染み込みます。シンプルな味付けながら、旨味たっぷりの一品に!
6. しょっつるのだし巻き卵 | 簡単&旨味アップ
卵3個にしょっつる小さじ1、みりん小さじ1、水大さじ1を加えて混ぜます。通常のだし巻き卵のように焼くだけで、魚の旨味が効いた風味豊かな仕上がりに。しょっつるが出汁代わりになり、より味わい深くなります。
7. しょっつるの浅漬け | 簡単!和風ピクルス
きゅうり、大根、白菜などをカットし、しょっつる(大さじ1)、酢(大さじ2)、砂糖(小さじ1)を混ぜて漬けるだけ。1時間ほど漬けると、魚醤のコクがほんのり効いた、さっぱりとした浅漬けが完成します。
8. しょっつるの炊き込みご飯 | 醤油代わりにアレンジ
米2合に、しょっつる小さじ2、酒大さじ1、みりん大さじ1を加え、水加減を調整します。具材にシーフード(アサリ、ホタテなど)やキノコを加えて炊飯器で炊くだけ。炊き上がりにネギを散らすと、風味が引き立ちます。
9. しょっつるスープ | 出汁いらずで旨味たっぷり
鍋に水500ml、しょっつる小さじ2、塩少々を加えます。豆腐やネギ、シーフードを入れて煮るだけで、あっさりとしながらもコクのあるスープが完成します。
10. しょっつる和風ドレッシング | サラダや冷奴に
オリーブオイル大さじ2、酢大さじ1、しょっつる小さじ1、砂糖小さじ1/2を混ぜるだけ。サラダやカルパッチョのソースにぴったりです。
まとめ
しょっつるの紹介をしてきました。魚醤というとクセが強いイメージがあるかもしれませんが、実は隠し味や出汁の代わりとして使うことで、料理のコクや旨味をぐっと引き出せます。まだ試したことがない人は、まずは醤油の代わりに少し加えてみたり、炒め物やパスタに取り入れてみるのがおすすめ。いつものレシピが新鮮な味わいに変わるかもしれません。