秋田県には、絶景を楽しめるローカル線や個性豊かな観光列車が数多く走っており、鉄道ファンだけでなく観光客にも人気を集めています。
日本海の車窓が美しい五能線、山間を縫うように走る秋田内陸線、なまはげの故郷を走る男鹿線など、それぞれに魅力ある路線が揃っています。本記事では、そんな秋田の有名な鉄道を厳選して紹介。観光や鉄道旅のプラン作りにぜひお役立てください。
秋田の鉄道旅が注目される理由
日本海や里山の景色が楽しめる
秋田県の鉄道旅が魅力的なのは、車窓から広がる雄大な自然風景にあります。とくに五能線では、日本海の水平線を間近に眺めながら列車が走り、夕暮れ時にはオレンジ色の海と空が一体となる美しい景色が堪能できます。
内陸に目を向ければ、秋田内陸縦貫鉄道が通る山あいの路線では、四季折々の風景が広がり、春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、訪れるたびに違った表情を見せてくれます。都会の喧騒を離れ、静かで贅沢な車窓風景を楽しめるのが、秋田の鉄道旅の醍醐味です。
ローカル線ならではの体験ができる
秋田のローカル線では、観光列車や地域ならではの企画列車が多く運行されており、ただの移動手段を超えた体験ができます。秋田内陸線では、車内で地元料理を味わえるランチ列車やユニークなラッピング車両が運行されており、由利高原鉄道では木製内装の車両や、地元の学生との交流イベントなど、地域密着型の取り組みも盛んです。
駅ごとに配布される乗車証明書や、ローカル駅での手作り駅弁も人気のポイント。乗って楽しく、降りて面白い。秋田の鉄道旅は、地域の魅力を深く味わえる貴重な体験となるでしょう。
新幹線や空港からのアクセスが良好
秋田へのアクセスは意外と便利で、秋田新幹線のこまちを使えば東京から約4時間で秋田駅に到着します。また、秋田空港からは秋田市内まで車やバスで30分ほどと、国内各地からのアクセスもスムーズです。
秋田駅を拠点にすれば、五能線、男鹿線、秋田内陸線といった主要ローカル線への乗り継ぎも良好。たとえば、空港に着いてからそのまま秋田内陸線の絶景旅に出発することも可能です。都市部からのアクセスの良さと、到着後すぐに観光列車が楽しめる環境が揃っている点も、秋田が鉄道旅で注目される理由の一つです。
秋田の鉄道路線7選
五能線
五能線は秋田県の東能代駅から青森県の川部駅までを結ぶローカル線で、日本海に沿って走る絶景路線として高く評価されています。沿線には白神山地や十二湖などの自然名所があり、特に夕暮れ時の日本海の眺めは格別です。観光列車リゾートしらかみが運行されており、橅・青池・くまげらの3編成が用意され、広い窓からのパノラマビューと地元の音楽や語り部イベントが楽しめます。
秋田内陸縦貫鉄道
秋田内陸線は、鷹巣駅から角館駅までを結ぶ第三セクター鉄道で、深い山あいと清流に囲まれた自然美に富んだルートです。沿線には阿仁マタギの里や打当温泉、秋田杉の森林などがあり、四季折々の車窓風景が魅力。観光列車の鉄の3兄弟(秋田マタギ号・笑EMI・縄文号)やランチ列車、貸切列車などもあり、乗って楽しい仕掛けが満載です。
由利高原鉄道 鳥海山ろく線
由利高原鉄道は、羽後本荘駅と矢島駅を結ぶローカル線で、鳥海山を望む田園風景のなかを走ります。全線を通じてのどかな農村地帯を走行し、春は菜の花、夏は緑の水田、秋は黄金色の稲穂と、変化に富んだ景観が楽しめます。おばこ号おもちゃ列車などの観光列車が運行されるほか、沿線イベントや列車貸切体験など、地域と連携した取り組みが充実しています。
男鹿線
男鹿線は秋田駅から男鹿駅までを結ぶ路線で、男鹿半島の玄関口として観光客に利用されています。2021年からはEV車両ACCUM(アキュム)が導入され、環境にやさしい次世代型車両として注目を集めています。なまはげラッピング車両や季節ごとの装飾列車も人気で、男鹿水族館GAOや男鹿温泉郷へのアクセスにも便利です。
田沢湖線・秋田新幹線
田沢湖線は盛岡〜大曲間を走る在来線ですが、秋田新幹線こまちも同ルートを利用しており、東京〜秋田を最速で結ぶ幹線の役割も果たしています。沿線には、日本一の水深を誇る田沢湖や、武家屋敷で有名な角館など、東北らしい観光名所が点在しています。都市と観光地を結ぶアクセスの良さと、快適な車内環境が魅力です。
奥羽本線
奥羽本線は福島県から青森県までを縦断するJR東日本の幹線で、秋田県内では秋田駅〜大館駅〜弘前方面へと続いています。秋田市・大館市など主要都市を結ぶ重要路線であり、通勤・通学の利用だけでなく、沿線観光の足としても利用されています。温泉地や歴史ある街並みが広がる横手・湯沢方面へも接続しており、多彩な旅の拠点となっています。
羽越本線
羽越本線は秋田駅から新潟県新津駅を結ぶ日本海側の長距離路線で、秋田市から象潟、酒田、鶴岡といった庄内地方へのアクセスに便利です。沿線には、日本海に面した風光明媚な景勝地や温泉地、歴史ある町並みが点在しており、観光列車や風景列車としての魅力も高い路線です。特に夏から秋にかけては、海沿いを走る列車からの景色が美しく人気です。
秋田の観光列車4選
リゾートしらかみ
リゾートしらかみは、五能線を走る人気の観光列車で、車窓からは日本海や白神山地の大自然を満喫できます。車両は橅・青池・くまげらの3タイプがあり、それぞれ内装や雰囲気が異なるのも魅力。津軽三味線の生演奏や語り部による沿線案内、車内販売の地元スイーツなども充実しており、乗ること自体が旅の目的になる列車です。全席指定で、早めの予約が推奨されます。
鉄の3兄弟

秋田内陸縦貫鉄道株式会社より画像を引用
秋田内陸線で運行されている鉄の3兄弟は、秋田マタギ号・笑EMI(えみ)・秋田縄文号の3両からなる観光列車群です。各車両には秋田の文化や自然、歴史をテーマにした内装が施されており、車体デザインも個性的。地元の小学生やアーティストとの協力で作られたことも話題です。沿線の四季折々の風景を背景に、秋田ならではのぬくもりを感じられる列車旅が楽しめます。
おばこ号・おもちゃ列車

由利高原鉄道より画像を引用
由利高原鉄道の観光列車おばこ号は、地元の高校生によるアナウンスや駅での手作りイベントなど、地域密着型の温かいおもてなしが魅力です。さらにおもちゃ列車は、子ども向けに設計されたポップな内装と遊具を備えた列車で、家族連れに人気。イベント列車として貸切も可能で、誕生日列車や撮影会など地域の交流イベントとしても活用されています。
EV-E801系ACCUM
男鹿線を走るEV-E801系ACCUM(アキュム)は、蓄電池を搭載した環境にやさしい次世代型車両です。静かでスムーズな走行に加え、車体には秋田らしいなまはげのラッピングが施されており、インパクト抜群。観光シーズンには地域イベントや限定ヘッドマーク付き列車も登場し、乗るだけで旅気分が高まります。秋田駅から男鹿半島への玄関口として活躍する注目の観光列車です。
秋田のフリーパスやお得なきっぷ情報
秋田内陸線フリーきっぷ
全線タイプ(鷹巣たかのす駅~角館かくのだて駅間有効):大人2,500円・小人1,250円
Aタイプ(鷹巣たかのす駅~松葉まつば駅間有効):大人2,000円・小人1,000円
Bタイプ(阿仁前田温泉あにまえだおんせん駅~角館かくのだて駅間有効):大人2,000円・小人1,000円
秋田内陸縦貫鉄道では、お得な内陸線フリーきっぷが販売されています。1日全線乗り放題で2,500円という手ごろな価格で、自由に乗り降りできるのが魅力です。阿仁合駅での途中下車や温泉地への立ち寄りなど、のんびりとしたローカル旅にぴったり。さらに、期間限定で発売されるランチ列車付ききっぷやイベント列車とのセット券も注目されています。
各鉄道会社の1日乗車券など
秋田県内のローカル鉄道会社では、それぞれ1日乗車券やお得な企画きっぷを用意しています。たとえば由利高原鉄道では鳥海山ろく線1日フリー乗車券が販売されており、何度でも途中下車が可能です。季節限定の乗車券や、地元施設との割引連携がついたプランもあり、観光とセットで活用するのに最適。旅のスタイルに合わせて使い分けることで、より充実した鉄道旅が楽しめます。
まとめ
秋田には、雄大な自然を満喫できるローカル線や個性豊かな観光列車がそろっており、鉄道旅の魅力が詰まっています。五能線や秋田内陸線をはじめ、各路線ごとに異なる景観や文化体験が楽しめるのが大きな魅力。
アクセスの良さやお得なフリーパスも整っており、初めての鉄道旅にも最適です。次の旅先に、秋田の鉄道を選んでみてはいかがでしょうか。