秋田県の横手やきそばとは?特徴・歴史・おすすめお店など紹介

秋田県横手市といえば、雪まつりや豊かな自然を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実はもうひとつの名物として全国に知られるのが横手やきそばです。太めのもちもち麺にウスターソースをからめ、仕上げにとろりとした目玉焼きをのせ、横に福神漬けを添えるという独特のスタイルは、見た目も食べ応えも大満足。

B級グルメの祭典B-1グランプリで優勝した実績もあり、その名は一気に全国区となりました。地元の人々にとっては昔から親しまれてきたソウルフードであり、観光客にとっては本場の味を食べてみたい!と思わせる魅力たっぷりのご当地グルメです。

本記事では、横手やきそばの特徴や歴史、さらにはおすすめなお店まで紹介していきます。

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横手やきそばとは?

麺の太さ・食感

横手やきそばといえば、太くて真っ直ぐな角麺のゆで麺を使うのが大きな特徴です。一般的な焼きそばに見られる縮れた蒸し麺ではなく、ゆで麺ならではのもっちり感とやわらかさが味わえます。地元の製麺業者が作る専用麺は、鉄板で焼いても歯切れがよく、小麦の風味をしっかり感じられるのが魅力です。

太い麺はソースや卵の黄身とよく絡み、最後まで一体感のある食べ応えが続きます。麺の存在感がしっかりあるため、一皿で満足感が得られる点も横手やきそばの人気の理由となっています。

ソースの味わい

横手やきそばの味付けは、ウスターソースをベースとしたやさしい甘さのあるソースが基本です。各店がオリジナルにブレンドしたソースを使っており、辛さは控えめで、子どもから大人まで楽しめるまろやかさが特徴です。

炒める際に水分を残すため、仕上がりはしっとりとした食感になり、ソースの香りがふわりと広がります。濃厚さよりも飽きのこない優しい味わいを重視しているため、地元の人が日常的に食べても楽しめる味に仕上がっているのです。

目玉焼きと福神漬けがセット

横手やきそばには必ず半熟の目玉焼きがのせられ、横には福神漬けが添えられます。これは単なる見た目のアクセントではなく、味のバランスを整える大切な役割を担っています。

卵の黄身を崩して麺に絡めれば、濃厚なコクがプラスされて味がまろやかにまとまり、最後まで飽きずに食べられます。

また、福神漬けは紅しょうがではなく、カリッとした食感と甘酸っぱさで全体を引き締める役割を果たします。横手やきそばを食べるときは「黄身を絡める→福神漬けでリセット」という流れが定番で、食べる楽しさを広げてくれるポイントになっています。

横手やきそばの歴史

戦後の食糧難時代に誕生

横手やきそばのルーツは、第二次世界大戦直後の食糧難の時代にさかのぼります。終戦後、横手市でお好み焼き屋台を営んでいた男性が、既存のお好み焼き用鉄板を活かした新しいメニューを模索したのが始まりとされています。当時のお好み焼きは小麦粉を薄く焼き、割り箸に巻き付けて提供される手軽なおやつで、子どもたちにとって数少ない楽しみの一つでした。

しかしより満足感のある料理を求め、市内の製麺業者と協力して焼きそば専用の麺づくりが試みられました。夜な夜な製麺工場で議論を交わしながら数年にわたって研究を重ね、昭和28年頃には現在の横手やきそばに用いられる太いストレート麺が完成。

その後、居酒屋で提供されると瞬く間に人気を集め、さらに駄菓子屋や民家の軒先などでも販売されるようになりました。最盛期には市内だけで約100軒もの焼きそば店が存在し、横手市民の食生活に深く根付いていったのです。

地元屋台から始まった発展

屋台から始まった横手やきそばは、すぐに居酒屋や食堂でも提供されるようになり、地元の人々に愛される定番メニューとなりました。昭和30年代から40年代にかけては、駄菓子屋や家庭の軒先でも作られるなど、より身近な存在へと発展。安価で食べ応えがあり、子どもから大人まで楽しめることから、市内で広く普及しました。

最盛期には100店舗以上が横手市内で横手やきそばを提供していたとされ、地元の食文化として確固たる地位を築きます。屋台から始まり、居酒屋や専門店、さらには家庭や駄菓子屋へと広がっていったストーリーこそが、横手やきそばが市民のソウルフードと呼ばれるゆえんです。

B級グルメグランプリでの受賞歴

横手やきそばが全国的に広く知られるようになったきっかけのひとつが、B-1グランプリでの活躍です。

2006年に青森県八戸市で開催された第1回大会でシルバーグランプリを獲得し、その後も全国各地のイベントに参加。特に2009年、地元横手市で行われた第4回大会ではゴールドグランプリに輝き、一気に全国区の存在となりました。

この受賞をきっかけにテレビや雑誌で多数取り上げられ、横手市を訪れる観光客も急増。市内の飲食店が活気づいたほか、ホテルや観光施設の利用者数も増えるなど、まちおこしの成功事例として注目されました。今では横手といえばやきそばと言われるほど、その知名度は全国に定着しています。

横手やきそばが食べられるおすすめ店

食い道楽 本店

食い道楽 本店より画像を引用

横手駅から徒歩圏内にあり、観光客にも地元の人にも人気が高いのが食い道楽 本店です。

横手やきそば四天王に幾度も選ばれている名店で、特に有名なのが牛バラやきそば。甘めでフルーティーなオリジナルソースと、半熟卵がとろける太麺の相性が絶妙で、さらに牛バラ肉の旨みが加わることで満足感のある一皿に仕上がっています。

店内は居酒屋としても利用でき、夜は地酒と一緒に楽しむお客さんも多いそうです。駅から近いため観光途中でも立ち寄りやすく、初めて横手やきそばを食べる方にまずおすすめしたい定番のお店です。

住所:秋田県横手市前郷一番町7-13 食い道楽ビル
営業時間:11時00分~14時00分
16時30分~23時00分
公式HP:https://kuidouraku-honten.biz/

旨味処 出端屋

旨味処 出端屋より画像を引用

旨味処 出端屋は、横手やきそばの名店として地元で高い評価を受けている一軒です。看板メニューは黒毛和牛やきそば。地元食材の黒毛和牛を贅沢に使い、甘めのソースと絡めて提供される一皿は、豪華でありながらしっかり“横手流”を感じられる味わいです。

ソースは深みがあり、麺のもちもち食感と見事に調和します。落ち着いた雰囲気の店内で、ランチやディナーどちらでも楽しめるのが魅力。観光客はもちろん、地元の常連も多く訪れる人気店で、ご当地グルメの進化形を体験したい方にぴったりです。

住所:秋田県横手市駅前町3-11
営業時間:17時30分~22時00分
公式HP:https://idehaya.com/

北海屋

夜遅くまで営業している北海屋は、観光で遅い時間に到着した人や夜にゆっくり食べたい人におすすめの店です。昔ながらの横手やきそばのスタイルを守りつつ、気軽に立ち寄れる雰囲気で人気を集めています。ソースはやや濃いめで、飲んだ後の締めにもぴったり。

麺は地元の製麺会社から仕入れたゆで麺を使用しており、もちっとした食感と香ばしい鉄板焼きの風味が楽しめます。居酒屋メニューも豊富にそろっているため、仲間と飲みながらシメに横手やきそばを注文するスタイルも定番。地元の人に混じって気取らず楽しめる、アットホームな雰囲気のお店です。

住所:秋田県横手市前郷二番町1-21 渡勝ビル
営業時間:11時00分~15時00分
17時00分~26時00分

藤春食堂

藤春食堂は、横手やきそばの四天王に輝いた実績を持つ老舗で、長年にわたり地元の人に愛されてきました。特徴は素朴でやさしい甘めのソースと、しっとりもちもちした太麺の組み合わせ。特別なトッピングを加えず、昔ながらの横手やきそばを忠実に再現しており、これぞ横手やきそばの王道と感じられる一皿が楽しめます。

店内は家庭的な雰囲気で、気取らない空気感が居心地の良さを生み出しています。観光客が本場の味を体験するには最適なお店で、地元のソウルフードとしての横手やきそばの魅力を堪能できる一軒です。

住所:秋田県横手市大屋新町堂ノ前22-3
営業時間:11時30分~14時00分

元祖神谷焼そば屋

昭和30年に創業した元祖神谷焼そば屋は、横手やきそばのルーツを語るうえで欠かせない存在です。現在は三代目が店を守り、当時からの伝統的な味を大切にしています。

シンプルで親しみやすい甘めのソースと、ふっくらしたゆで麺が特徴で、奇をてらわない正統派の横手やきそばを味わえます。店内は昔ながらの食堂風で、どこか懐かしい雰囲気が漂います。

観光ガイドブックにも必ず掲載される名店で、横手やきそばの“原点”に触れたい人におすすめです。歴史を感じながら一皿を楽しめるのは、ここならではの体験です。

住所:秋田県横手市大屋新町中野117-67
営業時間:11時00分~16時00分

まとめ

横手やきそばは、秋田県横手市が誇るソウルフードとして長い歴史と確かな個性を持っています。戦後の食糧難の時代に屋台から生まれ、専用の太麺や独自のソース、そして目玉焼きと福神漬けを組み合わせることで唯一無二のスタイルを築き上げてきました。

B-1グランプリでの受賞をきっかけに全国的な知名度を獲得し、今では観光の大きな目的のひとつとして広く親しまれています。

市内には元祖を名乗る老舗から、創意工夫を凝らした新しい名店まで数多くの提供店があり、同じ横手やきそばでもお店ごとに異なる味わいや雰囲気を楽しめるのが魅力です。観光で訪れる際には、ぜひ複数のお店を食べ比べてみてください。