秋田県のおすすめ世界遺産【2024年】おすすめ観光スポットも紹介

世界中に、世界遺産に認定された自然や建造物が多く存在しています。それは日本も同じで、国内には有名な世界遺産が数多くあるのです。中でも、秋田県は2ヶ所の世界遺産があり、観光客で賑わっています。

世界遺産とは何なのか、秋田県の世界遺産についてや魅力的な観光スポットをそれぞれ紹介します。

世界遺産とは?

過去から現在、未来へ繋ぐ宝物

世界遺産とは、地球が生まれてから人類と共に歩んできた歴史の中で生み出されただけではなく、過去から現在へと姿や考え方を引き継ぎ、未来へと引き継がなければならない「宝物」と呼ぶべき自然や建物などのことを指します。

1972年に世界遺産条約がユネスコ総会で採択されてから、世界中にある「顕著な普遍的価値」を持つ建物・景観・自然などが世界遺産に指定されてきました。「顕著な普遍的価値」とは、どの国に住んでいても、どの世代の人でも、全く違う価値観を持っている人でも同じように素晴らしさが感じられる価値のことです。世界中のどんな人でも素晴らしいと感じられる世界遺産は、人類が持っている共通の財産なのです。

「世界自然遺産」「世界文化遺産」「複合遺産」の3種類がある

同じ世界遺産でも、実は3種類に分かれています。まず1つ目が自然遺産です。自然遺産は、顕著な普遍的価値を持っている地形・地質・生態系だけではなく、絶滅してしまうかもしれない動物や植物が生息していたり、育ち続けている場所のことです。過去の姿をキープしたまま現代まで生きており、未来に残したい自然の価値を持つ世界遺産です。日本には、屋久島・知床・小笠原諸島が自然遺産に指定されています。

文化遺産は、自然遺産とは違い、建物が指定されていることが多いです。顕著な普遍的価値を持っている記念物や建造物、遺跡など、過去から現在、未来へと伝えていきたい文化の象徴が文化遺産に選ばれています。日本は、京都にある寺社仏閣などの文化財や、広島の原爆ドーム、富士山などが指定されています。

自然遺産と文化遺産の両方の価値を併せ持っているのが複合遺産です。自然としての姿も、その景観や建物等が持つ文化も、両方を伝えていきたい場合に複合遺産に指定されます。日本には複合遺産がありませんが、ペルーのマチュ・ピチュ、オーストラリアにあるウルル=カタ・ジュタ国立公園が複合遺産となっています。

秋田県の世界遺産

白神山地

秋田県には、2つの世界遺産があります。まずは、自然遺産に指定されている白神山地です。

白神山地は、秋田県と青森県にまたがっている、人の手が加わっていない自然が残っている山地帯です。世界でも珍しい、手つかずのブナの原生林があり、珍しい生態系がずっと保たれています。1993年に世界自然遺産に認定されました。

世界遺産に指定されるほどの自然を味わいたいという場合には、「ブナ林散策道」はいかがでしょうか。白神山地のブナ林を気軽に歩くことができる整備された散策道で、登山の準備をしなくても、歩きやすい服装とスニーカーがあれば、十分に楽しむことができます。散策道は世界遺産の区域内にあるため、全身で世界遺産として認められた自然を感じられます。ブナの木はもちろんですが、林床植物をはじめ、様々な植物が自生しており、散策道を訪れるたびに新しい発見が見られます。30分〜1時間半ほどで回れるコースとなっており、雪が溶け始めた早春から秋ごろまで通行可能です。

世界遺産としての白神山地のことをもっと知りたいという場合には、「白神山地世界遺産センター 藤里館」がおすすめです。「白神山地世界遺産センター 藤里館」は、白神山地の南麓にある体験型の学習施設です。資料がたくさん展示してあるだけではなく、常駐している自然アドバイザーから詳しい解説を聞くことができます。原生林を散策する場合、アドバイザーにガイドしてもらいながら行くことで自分だけでは気づかなかったような発見がたくさんあることでしょう。学びだけではなく、様々なトレッキングやエコツーリズムといった体験プログラムもたくさん用意されており、より自然が肌で感じられます。白神山地と共生してきた人々の暮らしを体感し、残さなければならない自然であることがより深く理解できるようになるでしょう。

北海道・北東北の縄文遺跡群

秋田県にあるもう1つの世界遺産は、北海道・北東北にある縄文遺跡群です。この地域には、秋田県の白神山地をはじめ、北海道の知床など、後世に残したい自然が色濃く残っています。北海道・北東北の縄文遺跡群は、1万年以上もの間、採集や狩猟などを行いながら定住してきた縄文時代の人々の生活や文化を、未来に伝えられる貴重な遺跡です。このような価値が認められたことで、2021年に世界文化遺産に登録されました。

秋田県の遺跡は2カ所あります。まずは、秋田県北秋田市にある伊勢堂岱遺跡です。河川が近くにあり、食料として欠かすことのできないサケやマスが遡上してくるため、捕獲が恒例の行事となっていたようです。4つある環状列石をメインに、配石遺構、掘立柱建物跡、貯蔵穴などが発見されています。環状列石の周辺からは、土偶や石剣などの祭祀・儀礼の道具も多く見つかっています。下部には死者を埋葬した土坑墓があり、共同墓地であるだけではなく、祭祀・儀礼のための空間としての一面も持っていたようです。

もう1つは、鹿角市にある大湯環状列石です。こちらもサケ・マスを捕まえることができる河川が近く、広葉樹の森があったとされています。大湯環状列石には最大径52mの万座環状列石と最大径44mの野中堂環状列石があり、それぞれの環状列石を囲むように掘立柱建物、貯蔵穴、土坑墓などが配置されています。そしてその周辺からは、伊勢堂岱遺跡の環状列石と同じように祭祀・儀礼の道具が見つかっているのです。

どちらの遺跡も、縄文時代の秋田県周辺における祭祀・儀礼の在り方を示している重要な遺跡です。

秋田のおすすめ観光スポット

田沢湖

秋田県には、世界遺産以外にもたくさんの見所があります。まず1つ目が田沢湖です。

田沢湖は、日本一の水深がある湖で、その深さはなんと423.4mを誇ります。そして、瑠璃色の湖面は、誰もが息を飲むほど美しいと言われています。季節によって見え方が変わり、夏は自然の緑との美しいコントラストが楽しめます。秋には色づいた紅葉が湖面に映え、多くの写真家が撮影に訪れるほどの美しさがあります。冬は、白銀の雪景色と湖という、東北地方ならではの景色を見ることができます。

田沢湖の魅力は景色だけではありません。田沢湖に伝わる「たつこ姫伝説」の舞台にもなっており、黄金に輝く「たつこ像」を見ることもできます。また、たつこ姫が祀られている御座石神社に参拝が可能です。御座石神社には、たつこ姫が飲んで龍になったとされる「潟頭の霊泉」や、自分の姿を映した「鏡石」といったたつこ姫伝説のスポットがあります。他には、1本の木から7種類の木が生えてきたと言われている「七色木」、市指定天然記念物にも指定されており、樹齢約450年もの歴史を持つ「ご神木」など見所満載です。

赤神神社五社堂

秋田県といえば、なまはげを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。そんななまはげの言い伝えが残っているのが、赤神神社五社堂です。赤神神社五社堂には石段があり、この石段はなまはげが積み上げたとされているのです。

2000年以上前、漢の武帝が5匹の家来の鬼たちを連れてやってきて、鬼たちに正月休みを与えたところ、人里に降りて大暴れしてしまいました。村の娘まで連れ去ってしまうようになった鬼たちに困った村人たちは、一晩のうちに1000段の石段を積み上げられるかどうか、鬼達と賭けをしました。鬼たちは頑張って999段まで積み上げましたが、朝が来てしまい鬼たちの負けとなったのです。鬼たちは、もう二度と人里には現れる事はなくなりましたが、村人は少し寂しく感じ、鬼の真似をして村中を歩きまわるようになりました。これが、秋田県に伝わるなまはげ祭りの始まりと言われています。

実際、赤神神社五社堂に祀られているのは5匹のなまはげです。5匹のうち、2匹は両親、3匹は子どもだそうです。また、赤神神社の赤神は、鬼たちを連れていた漢の武帝と伝えられています。

角館武家屋敷通り

3つ目は、角館武家屋敷通りです。角館武家屋敷通りには江戸時代の街並みがそのまま残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。

江戸時代に城下町として栄えており、「みちのくの小京都」と呼ばれていました。半径2kmという小さな範囲の中には、武家屋敷など、古くからの建造物が現在も数多く残されています。国内からの観光客はもちろんですが、外国人観光客からもかなりの人気を集めており、観光名所としても高い人気を集めています。

角館武家屋敷通りにあるのは、「石黒家」「角館歴史村・青柳家」「岩橋家」「松本家」「河原田家」「小田野家」の武家屋敷です。実際に見学する事も可能で、当時の環境を肌で感じることができます。中には現在も住居として使用されているお屋敷もあり、今を生きる人々が、実際に暮らしながら、角館武家屋敷通りの景観を保つべく努力していることがわかります。

角館武家屋敷通りの周辺には、おすすめのスポットもあります。例えばレンタル着物店ではアンティークな着物をレンタルすることができます。着物に着替えて角館武家屋敷通りを巡るのも良いでしょう。まるでタイムスリップしたような気分を味わえるだけではなく、いつもと違う姿が見られることから、デートにもぴったりです。「樺細工伝承館」からは人力車に乗ることもできます。当時と同じ乗り物なら、より楽しめること間違いなしです。

桜の名所としても名高く、桜の見頃の時期には、観光客はもちろん、桜をカメラに収めようと多くの写真家が集まります。

まとめ

国内でも多くの世界遺産に認定された建物や自然が多くありますが、秋田県には自然遺産と文化遺産の両方があることで、同じ世界遺産でも違った視点で楽しむことができます。また、周辺の施設などで世界遺産への理解を深めることもでき、より知見が広がるでしょう。

世界遺産だけではなく、秋田県には自然や歴史などの見所が満載です。秋田県を観光するときにチェックしてみてはいかがでしょうか。