秋田県の有名な城を紹介!特徴・見どころなどわかりやすく解説

秋田県には、歴史の舞台となった名城から、絶景を楽しめる山城など個性豊かな城が各地に点在しています。城そのものの魅力はもちろん、四季の景観や周辺観光との組み合わせで楽しめるのも秋田の城めぐりの醍醐味です。

本記事では、秋田県内で特に人気・知名度が高い城を紹介し、それぞれの特徴や訪れる際のポイントをまとめました。初めて秋田の城を巡る方も、歴史が好きな方も、旅先選びの参考にしてみてください。

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秋田県にはどんな城がある?

秋田の城の特徴

秋田県の城は平地ど真ん中のドーンとした城というより、丘陵や低い山を活かした平山城・山城タイプが多いのが特徴です。日本海側から内陸にかけて山が迫り、川沿いの段丘や丘を拠点にしてきた歴史があるため、自然の高低差や沢、谷をそのまま防御に利用した城が各地に築かれました。

城跡を歩いてみると、曲輪や土塁、空堀が階段状に並び、敵が攻め上がりにくいようによく考えられているなと実感できるはずです。見晴らしの良さも魅力で、山頂や高台の郭からは、盆地や海を一望できるスポットも多く、歴史と景色の両方を楽しめるのが秋田の城めぐりらしさと言えます。

様々なタイプの違いが楽しめる

秋田県内の城スポットは、遺構中心の城跡・模擬天守や櫓を備えた観光施設・古代建物の復元が混在しているのもポイントです。土塁や空堀、曲輪の地形が主役の山城跡では、当時の攻防を想像しながら歩く楽しみ方ができます。

一方で、横手城や五城目城、稲庭城、久保田城などには模擬天守や御三階櫓が建てられ、郷土資料館や展望台として活用されており、初心者でも「お城に来た!」という分かりやすい満足感が得られます。

秋田県の有名な城

久保田城

秋田県の代表的なお城のひとつ、久保田城は江戸時代初期にあたる慶長8年(1603年)に、当時出羽国(現在の秋田県など)を治めることになった佐竹義宣によって築城が始まりました。翌年には義宣が入り、その後正式には寛永8年(1631年)ごろに完成したとされています。

この城の大きな特徴は、天守閣をもたず堀と土塁を用いた構造である点です。これは、徳川幕府の統制下で大規模な城を持つことを慎んだ結果とされ、東国に多かった石垣・天守を伴う城とは異なるスタイルです。

現代では、かつての城域の多くが千秋公園として整備されており、御隅櫓や表門などが復元・再建されています。また、かつての侍屋敷であった旧黒澤家住宅なども保存されており、城だけでなく城下町の雰囲気を今に伝える空間となっています。

春には桜、秋には紅葉が美しく、市民にも観光客にも人気。アクセスも良く、歴史初心者から城好きまで、気軽に立ち寄れるお城です。

秋田城跡

秋田城は、今から千年以上前の奈良〜平安時代に設けられた城柵、つまり律令国家が支配域を管理するために築いた地方官庁的施設の跡です。出羽国における重要な拠点であり、東北地方の日本海側における最北の城柵のひとつに数えられています。

当初は出羽柵と呼ばれていましたが、天平宝字4年(760年)ごろから秋田城という名が用いられるようになりました。ここは単なる軍事拠点ではなく、政治・行政・文化の中心地であり、蝦夷との関係、北方交易、地方統治など、古代日本の重要な歴史の一端を担っていた場所です。

現在、秋田城跡は国指定史跡となっており、東門や塀の復元、発掘調査で明らかになった遺構や資料を通して、当時の城柵の様子を知ることができます。現存の城とは雰囲気が違いますが、古代日本の行政・文化拠点を体感できる貴重な跡地です。

横手城

横手城は、もともと16世紀後半の戦国時代に城郭が置かれていた場所に建つ、復興された模擬天守を持つ城です。現在の天守や展望台は、実際の戦国期の建造物ではなく、後世に観光向けとして整備されたものですが、街と自然、歴史をつなぐ象徴的なスポットです。

展望台からは、鳥海山 や横手の街並みを一望でき、四季折々の風景が楽しめます。特に、雪景色や春の新緑、秋の紅葉など、自然の変化とあわせて訪れてみると季節感を肌で感じられます。

また、横手城は街を見下ろすお城として、城下町の歴史や街の雰囲気を感じられる場としても親しまれています。

脇本城跡

脇本城は、現在の男鹿市 、日本海に突き出した丘陵地帯、生鼻崎を含む広大な城域に広がる中世の山城で、もとは地元豪族である安東氏の一族により、戦国時代に整備されました。1577年(天正5年)には大規模な修復が行われ、以後この地を拠点としていました。

城域はかなり広く、複数の曲輪、土塁、空堀、井戸跡、虎口など多くの遺構が確認されており、当時の城の構造や防御性を今に伝えています。城館そのものは残っていませんが、地形と遺構から山城らしさを強く感じられる場所です。

檜山城跡

檜山城は、秋田県北部、能代市の山あいにあった中世山城で、戦国期から江戸時代初期にかけてこの地域を治めた 檜山安東氏 の本拠地でした。築城は室町時代中ごろ、文献では明応4年(1495年)ごろとされ、山の尾根を巧みに利用した馬蹄形の縄張りが特徴でした。

天守や石垣といった派手な構造はありませんが、現在でも曲輪や腰曲輪、堀切といった土の防御構造が残っており、中世の城の原型を感じさせる貴重な遺構です。自然の地形を利用した守りと、当時の生活・統治の様子が偲ばれる場所で、静かに歴史を感じたい人にはぴったりです。

稲庭城

稲庭城は、湯沢市稲庭町の小高い丘に建つ模擬天守を中心とした観光城で、戦国期にこの地を治めた小野寺氏の居城跡をベースに整備されています。現在の天守は資料館として活用されており、館内には小野寺氏に関する展示や、稲庭町の歴史・産業を紹介するコーナーが充実。とくに、天井まで金箔が張られた黄金の間はインパクト抜群で、フォトスポットとしても人気です。

山麓から城までは東北最大級といわれるスロープカーで上ることができ、車がなくてもアクセスしやすいのがうれしいところ。天守最上階の展望スペースからは、皆瀬川や田園風景が一望でき、春から秋にかけては緑や紅葉の景色も楽しめます。

五城目城

五城目城は、南秋田郡五城目町の森山森林公園内に建つ模擬天守で、内部は森林資料館として開放されています。中世には藤原李盛の居城があったと伝わり、発掘調査では帯郭や物見跡、屋敷跡が確認されるなど、城郭としての歴史的背景をもつ場所です。

現在の天守風建物は昭和期に整備されたもので、本格的な城というよりはお城の形をした資料館として、地域の林業や自然環境に関する展示が行われています。館内見学は無料で、天守最上階の展望スペースからは五城目の街並みや周囲の山々を一望でき、天候がよければ日本海側まで見渡せる日もあります。

角館城跡

角館城は、仙北市角館地区の小松山に築かれた山城で、戦国時代には戸沢氏の本拠地として機能していました。別名小松山城とも呼ばれ、のちに佐竹北家の所領となった後も、この地は地域支配の要として重要な役割を果たしました。現在は城郭としての遺構はわずかに残る程度ですが、ふもとの城下町エリアには武家屋敷群がよく保存されており、みちのくの小京都として知られています。

黒板塀が続く通りには、かつての中級・上級武士の住宅が公開されており、当時の暮らしぶりや建築様式をじっくり見学できます。

本荘城跡

由利本荘市の中心部にある本荘公園一帯は、かつて本荘藩六郷氏の居城だった本荘城の跡地です。本荘城は、最上家の重臣・本城満茂が築いた本城城を経て、江戸初期に六郷政乗が入部した際に土塁造りの城として再整備されたとされ、土塁の名城と呼ばれるほど土の防御構造が発達していました。

現在、城そのものの建物は残っていませんが、本丸周辺の地形や土塁の名残が公園の中に見られ、春になると約千本以上ともいわれる桜が咲き誇る県内有数の花見スポットとして親しまれています。桜の季節が過ぎると、ツツジやアジサイなどが次々と色づき、季節ごとの風景を楽しめるのもポイントです。

秋田の城をもっと楽しむためのポイント

御城印

最近は御朱印だけでなく、お城版の御朱印ともいえる御城印を集めながら旅を楽しむ人も増えています。秋田県内でも、久保田城や横手城、稲庭城など、天守や資料館を備えた城を中心に御城印が用意されているスポットがあります。例えば、久保田城では御隅櫓や佐竹史料館で販売されているほか、横手城では公園展望台内で購入できるケースがあります。

デザインは城ごとに異なり、城名と家紋・縄張り図・名場面などが描かれているものもあり、登城記念としてはもちろん、秋田らしいお土産にもぴったりです。購入できる場所や取り扱い枚数は変わることがあるため、訪問前に各城の公式サイトや観光協会の情報をチェックしておくと安心です。

城跡巡りのベストセッション

秋田の城跡巡りは、基本的には一年を通して楽しめますが、歩きやすさや景観を考えると春と秋が特におすすめです。東北全体で見ると、桜の見頃は4月上旬〜下旬が中心で、城跡が公園として整備されている久保田城・本荘城・横手城などでは、堀や土塁を背景に満開の桜が楽しめます。

初夏〜夏にかけては、新緑の中を歩く山城散策が気持ちよく、脇本城や檜山城のような自然豊かな城跡で、緑に包まれた曲輪や土塁のダイナミックな地形を体感できます。紅葉シーズンの10月〜11月は、城跡周辺の山々や公園が色づき、写真好きにはたまらない季節です。

一方、冬は積雪が多く、山城は足元が滑りやすくなるため、無理せずアクセスしやすい城や市街地の公園を中心にプランを立てるのがおすすめです。

城+温泉ルート

秋田で城めぐりをするなら、ぜひ一緒に楽しみたいのが温泉です。たとえば、角館周辺の城跡や武家屋敷を散策した後は、車やバスで足を延ばして乳頭温泉郷へ向かうルートが人気です。田沢湖・角館・乳頭温泉をセットにしたモデルコースは、旅行サイトや観光サイトでも定番として紹介されており、田沢湖の絶景と秘湯感あふれる湯宿を一度に楽しめます。

また、男鹿半島方面では、脇本城跡の散策とあわせて男鹿温泉郷に宿泊すれば、日本海に沈む夕日やなまはげ文化と温泉を一度に味わえる旅になります。

秋田市内で久保田城を見学した後に、日帰り温泉施設や郊外の温泉地に立ち寄るプランも組みやすく、「城→まち歩き→温泉」という流れにすると、一日の満足度がぐっと高まります。移動距離が比較的コンパクトに収まるのも秋田の魅力なので、地図を見ながら自分なりの城+温泉ルートを作ってみるのもおすすめです。

まとめ

秋田県の城めぐりは、久保田城や秋田城のような歴史的な名所から、山城の雄大な眺望、武家屋敷の町並みまで、多彩な魅力を一度に味わえるのが特徴です。さらに温泉や郷土グルメとの相性もよく、旅全体の満足度を高めてくれます。歴史好きはもちろん、観光や写真を楽しみたい人にもぴったりなので、ぜひ次の旅行では自分だけの秋田の城めぐりルートを見つけてみてください。