秋田の素朴な郷土菓子として知られるバター餅は、その名のとおりお餅にバターを練り込んだユニークなお菓子です。やわらかくふんわりとした食感と、口に広がるやさしい甘さが魅力で、地元では昔から親しまれてきました。
近年はテレビや雑誌でも取り上げられ、全国的に注目度が高まっています。秋田のお土産や旅のおともとしても人気で、食べた人の記憶に残るやさしい味わいが評判です。本記事では、このバター餅の魅力や楽しみ方を、丁寧にご紹介していきます。
バター餅とは?
秋田県北秋田市で生まれた郷土菓子
バター餅は、秋田県北秋田市を中心に古くから作られてきた郷土のお菓子です。北秋田市阿仁(あに)や森吉エリアが発祥の地として知られており、マタギの保存食でもありました。
もち米を使ったお餅に、バターや卵黄、砂糖を練り込むというユニークな作り方が特徴で、シンプルでありながら一度食べると忘れられない味わいが魅力。現在では地元のお菓子屋さんだけでなく、道の駅や観光地のお土産としても販売され、秋田を代表する名物のひとつになっています。
冷めてもやわらかい人気の秘密
通常のお餅は時間が経つと硬くなってしまいますが、バター餅は砂糖とバターの働きによって冷めてもやわらかい状態を保てるのが大きな特徴です。砂糖はでんぷんの老化を防ぐ効果があり、バターの油分がしっとり感を与えることで、もっちりした食感が長く続きます。この性質が作業の合間でも食べやすい保存食として広まった理由のひとつと言われています。
テレビで紹介され全国的に話題に
地元で親しまれてきたバター餅が全国に知られるきっかけとなったのが、人気テレビ番組『秘密のケンミンSHOW 極』です。過去に番組で取り上げられた際には、バター餅の独特な作り方ややわらかさの秘密が紹介され、視聴者の間で大きな話題となりました。
これを機に食べてみたい!という声が全国から寄せられ、通販やお取り寄せでの需要も急増。今では秋田のご当地スイーツとして知名度を確立し、進化系の味つきバター餅やアレンジレシピまで登場しています。
バター餅の味は?

秋林商店より画像を引用
やわらかい食感とまろやかな甘み
ひと口かじると、まず感じるのはふんわりとしたやわらかさ。つき上げたお餅に砂糖や卵黄、そしてバターを練り込むため、冷めても硬くなりにくく、口どけはしっとり。甘さは砂糖のやさしいコク、そこに卵黄のまろみが重なって、素朴なのに満足感のある後味に仕上がります。
家庭向けレシピでもこの配合は定番で、仕上がりは冷めてもやわらかと評されることが多いお菓子。お茶うけにもぴったりで、和の雰囲気をまといながら、どこか洋菓子のようなミルキー感も楽しめます。
バターの風味とお餅のもちもち感のバランス
バター餅がおいしいと感じる最大の理由は、香りと食感のバランスの良さ。バターの豊かな香りがふわりと立ち上がり、噛むほどにもち米ならではの伸びと弾力があります。
テレビ番組でも「大量のバターと砂糖を練り込んだ、通常の餅よりよく伸びる」と紹介され、コクがあるのに重すぎない、絶妙な口当たりが評価されました。
子どもから高齢者まで幅広く好まれる
やわらかく食べやすい食感、やさしい甘み、そして懐かしさのある素朴な味わい、この三拍子が、幅広い世代に受け入れられてきた背景です。地域では名物として定着し、道の駅や市内の和菓子店でも定番商品として並ぶなど、日常のおやつから手土産まで幅広いシーンで親しまれています。
各種メディアでの紹介を機に知名度が全国へ広がり、観光やお取り寄せの目的で求める人も増加。発祥地・北秋田市でも協会や市がブランドを育てており、地元に根づいた味が広く楽しまれていることがわかります。
バター餅の作り方・レシピは?
基本の材料(もち米・砂糖・バター・卵黄など)
家庭で作りやすいのは切り餅を使う方法です。目安として、切り餅3個(約140〜150g)に対し、水大さじ2、砂糖大さじ2.5、塩少々、卵黄1/2個、バター6〜7g、片栗粉大さじ1/2(打ち粉少々)を用意します。
少量の塩が甘さを引き立て、卵黄がまろやかさとコクをプラス。片栗粉は最後に全体をまとめる役割と、成形時の打ち粉として活躍します。
道具は耐熱ボウル、ゴムベラ(または丈夫なスプーン)、ラップ、バット(皿でも可)、包丁があればOK。少量でも作れるので、おやつや手土産にちょうど良い分量です。
作り方の手順
- 耐熱ボウルに水で濡らした切り餅を入れ、水大さじ2を回しかけてラップをふんわり。電子レンジで1分半〜2分、柔らかくなるまで加熱します。
- 湯を捨て、熱いうちに砂糖・塩・卵黄を手早く混ぜ込みます。
- 次にバターを入れ、餅で包むように混ぜます(ここでは一時的に分離して見えてもOK)。
- 片栗粉を加えると一気にまとまるので、手に薄く片栗粉をつけて軽くこね、表面をなめらかに整えます。
- 打ち粉を敷いたバットで厚さを整え、しばらく置いてから包丁に片栗粉をつけて好みの大きさにカット。工程自体はシンプルで、慣れれば15分ほどで作れます。
自宅で作るときのコツ(固くならない工夫)
ポイントは熱いうちに混ぜる、バター後は片栗粉でまとめる、乾燥させないの3つです。砂糖・卵黄・バターは餅が温かい状態で手早く練り込むと、なめらかに仕上がります。バターを入れるとつるつるして混ざりにくく感じますが、焦らず片栗粉を加えれば急にまとまるので安心。
成形後は切り分けやすい硬さになるまで少し置き、乾燥を防ぐためにラップで包むか密閉容器に。卵を抜いたアレンジでも作れるので、家族のアレルギー事情に合わせて調整可能です。
アレンジ例(きな粉・黒糖・抹茶・チーズなど)
定番はきな粉まぶしや黒糖混ぜ込みでコクを強化するアレンジ。抹茶を少量加えて抹茶バター餅にすれば、ほろ苦さと香りが大人向けに。テレビでも進化系としてショコラ(ココア)や抹茶のフレーバーが紹介されています。
ほかにも、醤油をほんの数滴加えて香ばしさを足す、チーズを少量練り込んで塩味をきかせる、あんこやたらこ・柚子胡椒と合わせるなど、甘味・塩味どちらにも広がります。まずは少量で試し、好みのバランスを見つけてみてください。
バター餅が買える場所
秋田県内のお土産屋・道の駅
発祥の北秋田エリアでは、道の駅や観光施設の売店で定番として並びます。とくに阿仁の玄関口「道の駅あに(マタギの里)」は、秘密のケンミンSHOWでも紹介された「元祖 柴田さんちのバター餅」をはじめ複数の作り手の商品が入荷する名所。
市の公式案内では、道の駅「たかのす」「ふたつい」、四季美館、クウィンス森吉、秋田内陸線の阿仁合駅・角館駅、秋田市のアンテナショップ「秋田ふるさと館」、JR秋田駅構内の「NEWDAYS秋田ぽぽろーど店」などでの取り扱いが紹介されています。
現地で食べ比べを楽しむなら、これらの拠点を巡ると効率的です。
通販・お取り寄せ(楽天・Amazon・公式サイト)
お取り寄せの選択肢も充実しています。モールでは楽天市場で多数の取り扱いがあり、協会認定品や北秋田の事業者の商品、ふるさと納税返礼品まで揃います。Amazonでもバター餅のカテゴリで複数ブランドが購入可能。
公式系では、たけや製パンの自社EC、秋田県の公式セレクトEC「こだわりAKITA」、秋田内陸線のオンラインショップ、道の駅たかのすのEC「秋田の逸品」で北あきたバター餅を取り扱っています。配送温度帯・賞味期限・到着日の関係は商品ごとに異なるため、注文前に各商品ページで確認しましょう。
まとめ
秋田県北部発祥のバター餅は、バターと卵黄を練り込んだやわらかい食感が特徴の郷土菓子です。冷めても固くなりにくく、まろやかな甘みともちもち感が幅広い世代に愛されています。
もともとは山仕事やマタギの携行食として親しまれ、現在は道の駅や和菓子店、スーパーなどで定番化。家庭で手作りできるレシピやアレンジも豊富で、お土産・おやつ・贈り物にぴったりの秋田名物です。