かまくらとは、雪がたくさん降る地域の冬に見かける、雪でできた小さな空間のことです。白く丸みを帯びた姿はどこか愛らしく、寒い季節の中で目を引く存在でもあります。「何のために作られているの?」「中では何をするの?」と、名前は知っていても詳しくは知らないという方も多いかもしれません。
実は、かまくらには作られた背景や意味があり、昔から人々の暮らしとともに受け継がれてきました。この記事では、そんなかまくらについて紹介していきます。
かまくらって?

かまくらは小正月の行事
かまくらは、雪で作った小さな部屋のような形そのものを指すだけでなく、もともとは秋田県横手市などで行われてきた、小正月(1月15日前後)の行事としての意味を持っています。横手のかまくらは水神様をおまつりする行事で、約450年の歴史があるといわれています。
雪国では冬の間、水に関わる願いごとが暮らしに直結していたため、水神様に手を合わせ、家内安全・商売繁盛・五穀豊穣などを祈願する場として受け継がれてきました。見た目の可愛らしさに目が行きがちですが、本来は祈りの行事という特徴がしっかりあります。
かまくらの中で行っていること
横手(秋田県)のかまくらでは、子どもたちがかまくらの中に入り、訪れた人に声をかける風景が伝統として行われています。例えば「はいってたんせ(かまくらに入ってください)」「おがんでたんせ(水神様をおがんでください)」と招き入れ、あまえこ(甘酒)をふるまうのが特徴です。かまくらの中には水神様をお祀りし、手を合わせる場所が用意されます。
まつりの期間中は、市内に複数のかまくらが作られ、甘酒を飲みながら会話を楽しむ場にもなっているとされています。つまり、かまくらは「入って眺めるだけ」のものではなく、祈りと交流が同居する、冬の暮らしに根ざした場として成り立っています。
昔の風習が重なって今のかまくらになった
横手のかまくらは、いくつかの風習が変遷しながら現在の形になったと説明されています。藩政の頃、武家が住む内町では旧暦1月14日の夜に雪の壁を作り、門松やしめ縄などを入れてお神酒や餅を供え、燃やして災難除けや子どもの無事成長を祈る左義長のかまくらが行われました。
一方、商人が住む外町では旧暦1月15日の夜、井戸のそばに雪穴を作って水神様を祀り、良い水に恵まれるよう祈ったとされます。さらに、子どもたちが雪に穴をあけて中に入って遊ぶ雪遊びもあり、こうした要素が重なって、今のように水神様を祀るかまくらへとつながっていった、とされています。
かまくらの種類
かまくらは大きく2種類に分けられる
かまくらには、作り方の違いから大きく分けて2つの種類があるとされています。ひとつは、雪を小山のように積み上げてから中をくりぬいて作る「ドーム型」。もうひとつは、雪をレンガのようなブロック状に固め、そのブロックを積み上げて作る「ブロック型」です。どちらも最終的には人が入れる空間を作る点は共通していますが、材料となる雪の扱い方や、完成までの工程、必要になる道具が変わってきます。これからかまくらを作ってみたい方にとっては、まずこの2種類を知っておくと、自分の環境や人数に合った方法を選びやすくなります。特に、雪質や作業スペース、使える道具によって向き不向きが出やすいので、特徴を押さえたうえで選ぶのが安心です。
ドーム型の特徴

ドーム型のかまくらは、雪を積み上げて雪山を作り、その後で側面から穴を開けて中をくりぬくタイプです。雪山を形成する必要があるため、雪を集めて積む作業に向いたシャベルが必要とされています。作り方としては、雪山に穴をあけて空間を作っていくので、ブロックを一つずつ作って積むような細かな作業が少なく、手順としては比較的シンプルだと紹介されています。一方で、穴あけ作業中に崩れる可能性がある点が注意点として挙げられており、作業中は雪が十分に固まっているかを確かめながら進めることが大切です。ドーム型はまず大きな塊を作ってから中を作る方法なので、作業のタイミングや雪の締まり具合が安定性に関わってくるタイプといえます。
ブロック型の特徴

ブロック型のかまくらは、雪をブロック状に固めてから、そのブロックを積み上げて空間を作るタイプです。この方法では、雪ブロックを作る工程が必要になるため、ブロック形成用の直方体の入れ物が必要だとされています。また、ブロックを積み上げていくためには相当数の雪ブロックが必要になり、作る手間が発生する点も特徴として挙げられています。さらに、最終的にドーム状にするため、天井部分の積み上げが難しいと説明されています。つまりブロック型は、雪ブロックを準備する段階から工程が増えやすく、特に上部を仕上げる場面で難しさが出やすい種類です。その分、作り方の特性を理解して準備を整えれば、組み立ての過程を楽しみながら形にしていけるタイプともいえるでしょう。
かまくらが有名なところは?

秋田県横手市のかまくら
かまくらで特に有名な場 所として、まず挙げられるのが秋田県横手市の横手の雪まつりのかまくらです。横手のかまくらは約450年の伝統をもつ小正月の行事で、かまくらの中に水神様を祀り、家内安全や五穀豊穣などを祈願します。まつりの期間中は、横手市役所本庁舎前・横手公園・二葉町など市内の各所でかまくらを見ることができ、子どもたちがかまくらの中に入り、訪れた人にお餅や甘酒でおもてなしをする、とされています。
また、雪まつり期間中には無数のミニかまくらも作られ、ろうそくの灯りで照らされる幻想的な光景も見どころです。開催は毎年2月15日・16日で、夜はとても冷えるため防寒は念入りにしましょう。
長野県飯山市のかまくらの里
見るだけでなく、かまくらの中で過ごす体験まで含めて楽しめるスポットが、長野県飯山市のかまくらの里です。ここでは毎年1月下旬から2月下旬にかけて、20基ほどのかまくらが作られます。かまくらの中では、地元産野菜を入れた信州味噌仕立ての名物のろし鍋やおやつをいただけるプランがあり、夜には明かりが灯されて幻想的な雰囲気になります。北陸新幹線の飯山駅から車で約15分ほどというアクセス情報もあり、かまくらに加えてスノーアクティビティが充実している点も特徴です。
かまくらについてよくある質問

かまくらは誰でも入っていい?
多くの観光イベントで設置されるかまくらは、来場者が中に入れる前提で作られていることが多いです。ただしどれでも自由に入れるとは限りません。見学専用のものがあったり、体験プランの予約者だけが入れるものがあったり、混雑時は入場制限がかかることもあります。入口付近に案内表示がある場合はそれに従い、表示が見当たらないときはスタッフや近くの係の方に確認すると安心です。子ども連れの場合は、出入り口が狭く滑りやすいので、出入りの順番を決めて焦らず入るのがおすすめです。
かまくらの中は暖かいの?
かまくらの中は、外の風が直接当たりにくく、雪の壁が冷たい風を遮るため、体感として外よりマシと感じやすい環境です。ただし、暖房の効いた室内のように暖かいわけではありません。中に長くいると足元から冷えたり、座っているうちに体温が奪われたりするので、防寒は外と同じ前提で考えるのが安全です。特に、足先・手先・首まわりが冷えやすいので、手袋や厚手の靴下、マフラーなどで調整すると過ごしやすくなります。
危険はない?崩れたりしない?
観光用に作られたかまくらでも、雪でできている以上「絶対に安全」とは言い切れません。気温の上昇や雨、強風、出入りによる壁の薄まりなどで、形が崩れやすくなることもあります。安全に楽しむコツは、入口や天井を必要以上に触らないこと、壁を蹴ったり叩いたりしないこと、混雑時に無理に押し込まないことです。もし中でポタポタと水滴が落ちる、天井の表面が大きくえぐれている、壁が薄く見えるなど不安なサインがあれば、入らずにスタッフへ伝えるのが無難です。
中で火を使ってもいい?)
基本的に、許可がない場所で火器を使うのは避けたほうが安全です。雪の建物は換気が十分でない場合があり、火を使うと一酸化炭素がたまる危険があります。また、火の熱で内部が溶けて形が変わり、崩れやすくなる可能性もあります。イベントで「火鉢が置かれている」「提供側が管理している」など、運営が安全対策を取っているケースはありますが、自己判断で持ち込んだ火器を使うのはおすすめできません。どうしても体験したい場合は、主催者の案内や体験プランのルールに沿って楽しむのが安心です。
服装や持ち物は?
かまくらは足元が特に滑りやすく、入口付近は踏み固められてツルっとなりやすいので、滑りにくい靴があると安心です。可能なら滑り止め付きの冬靴や、簡易の滑り止めを用意すると歩きやすくなります。手袋は、出入りのときに雪に触れることがあるのであると便利です。中で座る場合は、衣類が濡れないように撥水の上着や、濡れても冷えにくい素材の服だと快適です。スマホで写真を撮るなら、バッテリーが冷えで減りやすいので、ポケットの内側で温めておく、短時間で撮影するなどの工夫も役立ちます。
まとめ
かまくらは雪の多い地域で冬に作られてきたもので、もともとは小正月に水神様を祀り、家内安全や五穀豊穣を祈る行事として受け継がれてきました。現在では、秋田県横手市をはじめ各地で、伝統行事としての意味に加え、観光や体験イベントとしても親しまれています。見学や体験の際は、入れる場所かどうかの確認や、防寒対策、安全面への配慮が大切です。由来や特徴を知っておくことで、かまくらをより安心して、冬ならではの文化として楽しめます。

