木工製品の制作
秋田県鹿角市十和田大湯字扇ノ平49番地3
木工製品の制作
秋田県鹿角市十和田大湯字扇ノ平49番地3
青森、岩手の県境に面した秋田県鹿角市十和田大湯。
森林に育まれ囲まれ渓流の水音が響く山あいに橋野浩行さんの工房があります。
橋野さんが生み出す木工製品は唯一無二の美しさ。実用性の高さで手に入れる人を魅了しています。
工房の一角に保管されているのは、伐採から50年近い歳月を経た希少木材。
日本の落葉高木「斧折樺(オノオレカンバ)」です。斧が折れるほどの堅い木で、水に沈むほどの比重があります。標高500m以上の過酷な環境に生きるため成長が遅く、幹は年に0.2ミリ太くなる程度。太い木の入手が困難で、希少素材となっています。
「あまりに堅くて何をどう形作るか並大抵の考えでは手に負えない木。柔らかい木でモノを作った方が楽だけど、楽を選んだらつまらない。誰もが選ばないことに挑み続ける方が私にとっては面白い。あえて厄介な道を選ぶなんて馬鹿だよね」と笑う橋野さん。モノづくりへの探求心があふれます 。
橋野さんは 大工、福祉施設での木工指導の職員をへて岩手県内の家具会社に就職。デザイン、加工、流通など幅広い業務に5年間携わりました。当時手がけたのは価値ある一枚板で作るテーブルや椅子などの家具。プラスチックの工業製品が大量に生産された1980年代において天然木を使った手仕事の温もりを広げる仕事に没頭しました。その後、大型NC機械の導入でコンピューターによるモノづくりに舵を切る会社との方向性の違いから退社。地元鹿角に戻って1991年にアートフォルムを設立しました。
当時、こう考えました。「地元には自分が望むような仕事が見つからない。ならば自分で始めよう。安定に甘んじるのではなく、リスクを負ってでも起業しよう。自分の力でモノを創り、人との違いを表現する。価値や評価を得るには時間がかかっても自分にはやり遂げる覚悟がある」。秋田の山あいから始めた首都圏へ、世界への挑戦。決意を情熱に変え黙々と堅い木と対話する日々を送りました。
目指したのは世界で唯一のモノを創ること。固定概念にとらわれず、使う人の気持ちになって、自らデザインするマニファクチュールであること。美しさ、使い勝手、耐久性を追求すること。考えに考えて無駄をはぶいてそぎ落とした結果、「ひねり髪すき」や皇室御用達となった「靴べら」の完成に至りました。
製品の明治神宮への奉献のほか、秋田国体の炬火台彫刻、グッドデザイン賞受賞、特許取得、意匠登録、など、次々と実績を残してきました。
現在は、橋野さんの右腕となって活躍している石川雅徳氏が、造形美のディテールを守れるまでに成長。制作に関する重要な仕事を任せられるようになりました。
その分、自ら積極的に国内外に出向き、お客さまの反応や声、その土地の文化、違いから刺激を得て、モノづくりに生かしています 。「モノづくりへの情熱はいつ消えるとも知れない。情熱を燃やし続けるために外に出るのです。歴史、文化や考え方、言語、感覚の違いから生じるさまざまな感情と葛藤こそが、刺激的なエネルギーになり、造形美につながる」と橋野さんは話します。
国内外のプロモーターから出品展示のオファーが続き、現在もニューヨーク、ウッドストック、ロサンゼルスなどのギャラリーでの個展の計画が進んでいます。
「ニューヨークにあるMDミュージアムでは、『これを貴方が創ったの?It’s so cool !』と驚かれた。いいモノづくりに国境はないんです。いい音楽だってそうでしょう?聴きながら感じる。言葉はいらない。私は、まだモノづくりをはじめて40年。『It's so cool !』をいただく瞬間のため、製品を手にするお客様の満足のため、刺激を情熱に変えてもっと『次』を目指して行かないと。プロとは一線を越えるほどの情熱の塊でなければね」。
鹿角の静かな山間で、モノづくりへの情熱の炎が輝いていました。
ひねり髪すきは伝統的なくしの形状に立体的なひねりを加えた新しい形状のくしです。独特の形状は丸い頭の形にフィットし、髪を梳かしながら頭皮を心地よくマッサージし血行を促進させます。平らな場所においても手に取りやすい形状には、職人による使い手への気遣いが詰まっています。
日本一堅い木材「斧折樺(おのおれかんば)」を用いて40年近く前に考案された靴べらは、弓なりに伸びる造形が美しく、東京・日本橋の高島屋から宮内庁に納められたこともあるアートフォルムが自信を持ってお届けする逸品です。
艶やかな木肌と、弓なりに伸びるなめらかで美しいフォルム。 手にとってみると手のひらにしっくりと馴染み、心地よい質感が伝わってきます。靴型のスタンドも斧折樺を使用しております。本商品は、NY5番街KITON社で展示販売していたモデルになります。
木工作家である橋野浩行が1991年に設立。木のぬくもりを感じる”世界にひとつだけのモノづくり”をコンセプトに数々の木工作品をリリース。生み出される作品は国内外で高く評価され、グッドデザイン賞・ウッドデザイン賞・おもてなしセレクションなど数多くの賞を受賞している。