鼎庵の看板商品である手焼き煎餅は秋田県内の味噌醤油蔵で手間暇かけて作られた味噌や醤油を使用しているのも特徴の一つです。
「金の鼎庵」には160年の歴史を持つ秋田県湯沢市の石孫本店の丸大豆一番搾り醤油『百寿』と『吟醸孫左エ門味噌』を使い、秋田の田んぼを彷彿とさせる黄金色に。「銀の鼎庵」には秋田県鹿角市の浅利佐助商店の『百年蔵生じょうゆ』をもとに、波照間産黒糖を配合した秘伝醤油だれを使用。石孫本店の希少醤油に和三盆糖の上品な甘さが特徴の「極みの鼎庵」など、すべてのたれは試行錯誤を重ねた独自配合。完成した特製秘伝だれはいずれも“オール秋田”の名に恥じない滋味深い味わいです。

一級品の米を使って一枚一枚手焼き、手揚げし、食の伝統を受け継ぐ味噌や醤油を独自配合したたれで味つけした鼎家の煎餅。素材、工程、味付けからパッケージまで、細部にわたりこだわり抜いた情熱の源を問うと、「煎餅なんて“たかが煎餅”だと思うんです。でもそのイメージを“されど煎餅”に変えたかった」と米田さんは語ります。

鼎家のプライベートブランド「鼎庵」は、古代中国で多く作られた器の一種で、３本の足を持つ「鼎」という器を名前に冠しています。３本足の器は安定して倒れません。さらに上に支えられ、下に支えられ、人にも支えられながら成長できるようにという思いが込められています。
食べておいしく、もらってうれしい煎餅は、地域の米や味噌醤油の生産者の仕事を支え、ひいては美しく懐かしい田んぼの風景と食の伝統を次世代につなぐ役割も担っています。
たった一枚の煎餅に、幾重にも込められた思い。じっくり味わいたいですね。