西明寺栗とは?特徴や美味しい食べ方や購入方法など紹介

秋の味覚といえば、栗を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。全国各地に名の知れた栗がありますが、秋田県仙北市には西明寺栗というちょっと特別な存在として知られる栗があります。

地元の人々に長く愛されてきた西明寺栗は、大きさも味わいも一度食べると印象に残るほど。地域の気候や土壌に育まれ、代々大切に受け継がれてきたからこそ、今も秋の楽しみとして多くの人に親しまれています。

この記事では、西明寺栗についての特徴、美味しい食べ方さらには購入方法まで解説していきます。

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西明寺栗とは?

かたくり館より画像を引用

西明寺栗の歴史

西明寺栗の栽培は、江戸時代の初期に始まったと伝えられています。当時の秋田藩主であった佐竹義宣が、京都の丹波地方や岐阜県養老地方から栗の種子を取り寄せ、現在の秋田県仙北市西木町西明寺地区で育て始めたのがきっかけとされています。以来、この地で代々栽培が受け継がれ、すでに300年以上の歴史を持つ栗として知られています。

藩政時代には、年貢米の代わりに上納されたり、献上品として扱われたりするなど、格式ある作物としての位置づけを得ていました。現在では地域を代表する特産品として認知され、長い歴史の中で地元の文化や暮らしとともに歩んできた栗なのです。

西明寺栗の特徴

西明寺栗の大きな特徴は、その粒の大きさです。中には1粒で60グラムを超えるものがあり、赤ちゃんの小さなこぶしほどのサイズになることもあるといわれています。ただしすべてがこのサイズというわけではなく、収穫年や樹齢、育成環境によって異なります。

また、甘みが非常に豊かで、ホクホクとした食感も楽しめます。栗本来の風味がしっかり残るため、焼き栗、栗ごはん、栗きんとんなど、さまざまな料理や菓子に用いられています。皮をむいた時の色艶や質感も良く、見た目にも魅力があります。

西明寺栗の収穫時期

西明寺栗は、主に秋田県仙北市西木町西明寺地区で栽培されています。ここは標高や気候、土壌が栗栽培に適しており、昼夜の寒暖差、適度な湿度と降水量、そして排水のよい土地が栗の品質を高める要因とされています。

収穫時期は例年、9月下旬から10月上旬がピークです。栗が十分に実を太らせ、渋皮内部のデンプンが糖に変わりはじめるこの時期が、甘さと風味がもっとも高まるとされています。

西明寺栗の美味しい食べかた

かたくり館より画像を引用

素材をそのまま味わう

西明寺栗の魅力をいちばんシンプルに堪能できるのが、焼き栗や蒸し栗、そしてゆで栗です。大粒でしっかりとした実を持つ西明寺栗は、ただ火を通すだけでも甘さが際立ち、豊かな香りが広がります。特に蒸し栗は水分を余分に含まないため、ホクホクとした食感と濃厚な風味を一層引き出してくれます。

焼き栗は鬼皮に切れ目を入れてじっくりと火を入れると、外皮は香ばしく、中の実は柔らかく甘みが凝縮され、栗ならではの香りが際立ちます。ゆで栗はほんの少し塩を加えて茹でると甘さがさらに引き立ち、素材の良さを素直に楽しめる一品に仕上がります。

西明寺栗本来の美味しさを感じたいなら、まずはこうしたシンプルな食べ方がおすすめです。

栗ご飯にして食べる

家庭料理として人気の高い栗ご飯は、西明寺栗の大粒さと甘みを存分に活かせる定番の一品です。丁寧に皮をむいた栗をお米と一緒に炊き上げれば、炊飯器を開けた瞬間にふわっと立ち上る香りに食欲をそそられます。

大きな栗がゴロゴロと入ったご飯は見た目にも豪華です。下ごしらえの際に栗を軽く焼いてから炊き込むと香ばしさが増し、より深い味わいになります。

塩や酒などでシンプルに調味するだけで、栗そのものの甘みがご飯全体に行き渡り、噛むほどにほっこりとした美味しさが広がります。

和菓子や洋菓子として味わう

西明寺栗は、和菓子や洋菓子の素材としても幅広く使われています。和菓子では、栗を裏ごしして砂糖と練り合わせた栗きんとんが定番で、しっとりとした口どけと自然な甘さが楽しめます。また、渋皮を残したままじっくり煮込む渋皮煮は、手間がかかる分だけ見た目も美しく、贈り物にも喜ばれる特別な一品です。

洋菓子では、濃厚な栗ペーストを使ったモンブランが代表的で、大粒の栗が持つ風味と相性抜群です。ケーキやタルトに仕立てれば、食べ応えのある味わいに仕上がり、栗の存在感を余すことなく楽しめます。

西明寺栗の購入方法

現地で買う(産直・直売所)

いちばん確実なのは、産地・仙北市西木エリアの産直や直売所での購入です。とくに田沢湖畔にあるむらっこ物産館では、秋になると西明寺栗や関連の加工品が店頭に並びます。大粒を目で確かめて選べるのが直売の魅力で、旬どきは朝から動くと状態の良いものに出会いやすいです。

またかたくり館では、西明寺栗生産販売事業協同組合から出荷された品が扱われており、産地らしいラインナップに出合えます。旅行のついでに立ち寄る場合は、販売が秋限定である点と、天候や収量によって入荷が変動する点に留意し、電話確認や最新情報のチェックをおすすめします。

生産者から取り寄せる(直販・地方発送)

現地には行けないけれど旬のうちに味わいたいという方は、生産者の直販・地方発送を利用する方法があります。西木町の佐々木栗園は、栗拾い体験や店頭直売に加えて地方発送にも対応しており、採れたての実や加工品を産地から届けてくれます。

ほかにも、齋藤農園などの生産者が百貨店系の取り寄せサイトや専門店を通じて数量限定で出品するケースがあり、特大サイズのセットなど産地選抜ならではの規格に出合えることも。いずれも収穫期のオーダーが集中しやすいため、販売開始のアナウンスに合わせて早めに申し込むのがコツです。

ふるさと納税を活用する

西明寺栗は、仙北市のふるさと納税でも返礼品として用意されています。皮むき済みで使いやすい「熟成むき栗」や、地元産の実を使った栗焼酎、焼き栗・スイーツなど、家庭での調理や贈答に使いやすいラインナップが中心です。

生栗の取り扱いはシーズン限定・数量限定のことが多く、申込期間が短い年もあるため、寄附サイト上で在庫や配送時期の表記をよく確認して選ぶと安心です。

まとめ

西明寺栗は、秋田県仙北市西木町西明寺地区の特別な大きな栗です。江戸時代から続く栽培の伝統があり、粒の大きさや甘みの強さから日本一の大栗とも称され、多くの人に親しまれてきました。

シンプルに焼き栗や蒸し栗で味わえば素材本来の旨みを堪能でき、栗ご飯や和菓子、洋菓子に仕立てれば季節感あふれる一品へと変わります。ぜひ収穫時期には西明寺栗を購入して、秋の味覚の奥深さを味わってみてください。