じゅんさいってどんな食べ物?特徴・味と食感・栄養価など解説

じゅんさいと聞くと、「あのぷるんとした食感の食材だよね?」とイメージされる方も多いのではないでしょうか。じゅんさいは日本でも珍しい水草の一種で、透明感のあるゼリー状の膜に包まれた姿が特徴です。

なかでも秋田県三種町は全国屈指の産地として知られており、初夏になると小舟に乗って一つひとつ丁寧に摘み取る光景が見られます。つるんと喉ごしのよい食感は、酢の物やお吸い物などさまざまな料理に活かされ、夏の涼を感じさせてくれる逸品です。

最近では健康や美容に良いと注目され、ふるさと納税や通販で手軽に取り寄せる方も増えています。本記事では、じゅんさいの魅力や歴史、旬の味わい方から購入方法まで、分かりやすくご紹介します。

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じゅんさいとは?

じゅんさいの特徴

じゅんさいはスイレン科の多年生水草で、澄んだ池や沼に浮かぶように育ちます。新芽や葉柄が透明なゼリー状のぬめりに包まれているのが最大の特徴で、口に入れるとつるんとした独特の喉ごしを楽しめます。

クセがほとんどないため、三杯酢やポン酢でさっぱり味わうほか、吸い物や冷や汁など幅広い料理に活用されています。水草でありながら日本の食文化に深く根づいている、ちょっと不思議で特別な存在です。

じゅんさいの収穫方法

じゅんさいは日本各地で古くから食されてきましたが、近年では自生地が減り、限られた地域でのみ栽培が続けられています。特に有名なのが秋田県三種町で、町内の角助沼などでは今も昔ながらの手摘み作業が行われています。

初夏から夏にかけて、腰まである浅い沼に小舟を浮かべ、一本の棒を使って舟を進めながら、一つひとつ丁寧に収穫する様子は風物詩となっています。観光客が体験できる収穫プランもあり、地域文化として受け継がれています。

じゅんさいのブランド化

三種町は「じゅんさい生産量日本一」を誇る町として知られ、7月1日を「じゅんさいの日」と定めるなど、地域を挙げてPRに取り組んでいます。ふるさと納税や特産品フェアでの販売、観光体験との連動など、ブランド化を進める取り組みは国内外から注目を集めています。

環境保全や担い手育成の努力が実を結び、今では「じゅんさい=三種町」と言えるほど強い結びつきを築いており、食材としての魅力だけでなくストーリー性のある地域資源としても評価されています。

じゅんさいの味と食感

つるりとした食感、クセのない味わい

じゅんさいは、透明なゲル状のぬめりに若芽や葉柄が包まれているのが特徴で、この膜が生むつるりとした喉ごしと、ぷるぷるの食感がいちばんの魅力です。味自体に強い主張はなく、上品でクセのない旨みのため、出汁や酢、醤油など繊細な味つけとも相性が良い食材として親しまれてきました。

初夏の涼味としても知られ、冷たく仕立てると清涼感がいっそう引き立ちます。産地のJAも“独特のぬめりとツルリとした喉ごし”を紹介しており、地域の誇る初夏の味覚として定着しています。

冷やして三杯酢やポン酢で食べるのが定番

いちばんポピュラーな食べ方は、さっと下ゆでして氷水で締め、よく水気を切ってから、三杯酢やポン酢でいただくスタイルです。三種町観光協会の基本の食べ方でも、酢醤油やポン酢、生姜醤油などのさっぱりしたたれが紹介されており、地元で長く親しまれてきた定番であることがわかります。

三杯酢は甘みと酸味のバランスがよく、じゅんさいの風味を引き立てる最適な調味料です。きゅうりやみょうが、すりおろし生姜を添えると、香りと食感のコントラストが生まれてより爽やかに楽しめます。

吸い物や鍋物などアレンジ料理にも使われる

汁物やお吸い物といった料理に加えると、澄んだ出汁にやさしいとろみと季節感が生まれ、具材の風味を引き立ててくれます。

秋田では比内地鶏などの出汁に野菜を合わせ、仕上げにじゅんさいをそっと加える「じゅんさい鍋」が夏の鍋として親しまれており、火を通しすぎないのが美味しさのコツとされています。ほかにも冷や汁やうどん、茶碗蒸しなど、強い香りを足しすぎない料理に合わせると、じゅんさいの涼やかな存在感が活きます。

じゅんさいの旬の時期

じゅんさいの収穫は初夏から夏にかけて行われ、秋田県三種町では概ね5月から8月ごろまでがシーズンです。なかでも品質・量ともに充実する最盛期は6〜7月。町の観光案内では収穫期は5〜8月、最盛期は6・7月と案内され、体験プログラムも5月中旬から8月中旬まで設定されています。

加えて、記念日として制定された「じゅんさいの日」(7月1日)がちょうど最盛期に当たるのも、旬の目安として覚えやすいポイントです。

じゅんさいの栄養価と効能

低カロリーで、食物繊維は高め

じゅんさいはほとんどが水分で、可食部100gあたりのエネルギーはわずか4kcalと非常に低く、さっぱり食べられるのが魅力です。日本食品標準成分表(八訂)によると、水分98.6g、炭水化物1.0g、たんぱく質0.4g、脂質0gとされ、食物繊維総量は100gあたり1.0gと記載されています。

量としては控えめですが、カロリー当たりで見ると繊維の密度は高めで、酢の物など油分を使わない調理法で取り入れると、より軽やかに楽しめます。暑い季節に食欲が落ちがちなときも、つるんと喉ごしよく食べられるのがうれしい特徴です。

美容や健康面でも注目

じゅんさいはカロリーがきわめて低く、油を使わなくても美味しく仕上がるため、ダイエット中の副菜にぴったりです。下ゆでして氷水で締め、三杯酢やポン酢でいただけば、すっきりとした味わいで満足感も得られます。

きゅうりやみょうが、豆腐や白身魚などと組み合わせると、見た目にも爽やかで栄養のバランスも整います。水分が多く、食物繊維と合わせて摂れるので、暑い時期の水分補給やおなかの調子を整える一品としてもおすすめです。

じゅんさいの購入方法

道の駅や産直で買う

産地である秋田県三種町では、直売施設「じゅんさいの館」で生のじゅんさいや加工品を購入できます。旬の時期には採れたてが並び、食事処ではじゅんさい料理も楽しめるため、観光と合わせて訪れる人も多い場所です。

また「道の駅ことおか」など地域の産直施設でも、生のじゅんさいが出回る季節になると販売されます。現地に足を運べば、実際にサイズや状態を見ながら選べるのが大きな魅力です。販売状況はその年の収穫量や天候によって変わるため、訪れる前に確認しておくと安心です。

通販・お取り寄せサイトで買う

遠方に住んでいる場合や現地に行けない場合は、通販を利用するのがおすすめです。産地直送の通販サイトでは、収穫したばかりの生じゅんさいを限定販売しており、旬の時期(5月上旬〜8月下旬)にだけ購入できるケースが多いです。

オフシーズンには冷凍や解凍パックとして販売される商品もあり、通年で楽しめる選択肢が広がっています。ただし生のじゅんさいは賞味期限が短いため、届いたらすぐに下処理をして食べるのが基本です。

通販の商品ページでは「生」「解凍」「冷凍」「瓶詰」など明記されているので、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。

まとめ

じゅんさいは、ぷるんとした独特の食感とつるりとした喉ごしが魅力の日本ならではの食材です。とりわけ秋田県三種町は全国有数の産地として知られ、昔ながらの小舟に乗って一つひとつ手摘みする収穫風景は、地域の伝統を象徴するものになっています。

旬の時期は5月から8月で、もっとも美味しい最盛期は6月から7月。生のじゅんさいは酢の物やお吸い物、鍋など幅広い料理に活かされ、涼やかな味わいで夏の食卓を彩ります。

また、低カロリーで食物繊維が含まれているため、健康や美容を意識する方にも注目される食材です。購入方法もさまざまで、現地の道の駅や直売所で旬を味わうのはもちろん、通販や瓶詰、冷凍品を利用すれば一年を通じて楽しむことができます。

旬の生で味わう特別感、保存性のある瓶詰や冷凍を使った便利さ、それぞれの良さを使い分けるのがおすすめです。