きりたんぽ鍋ってどんな鍋?由来や地方ごとの習慣と作り方も紹介

たくさんの野菜とお肉のほかに、きりたんぽが入っていることが特徴であるきりたんぽ鍋は好きな人が多い鍋料理の1つです。

ですが、きりたんぽ鍋が秋田県の郷土料理であることを知っている人は少ないのではないでしょうか。

きりたんぽ鍋について、郷土料理としての歴史やアレンジレシピなどを紹介します。

詩の国むすび

きりたんぽ鍋ってどんな鍋?

ご飯と野菜・鶏肉を同時に食べられる

きりたんぽ鍋とは、鶏ガラと調味料で味を作った汁の中に、きりたんぽと野菜を入れた鍋料理です。きりたんぽはお米からできているため、きりたんぽ鍋を食べれば、ご飯・野菜・肉を全て摂ることができます。

郷土料理ですが、健康にも良い汁物なので、大人はもちろん、子供の食事にもぴったりです。

秋田県の郷土料理であるため、その他の地方ではなかなか食卓に上ることがありません。そのため、今までに数えるほどしかきりたんぽ鍋を食べたことがない人がかなり多くいます。

鶏肉は秋田県のブランド鶏「比内地鶏」を使用

きりたんぽ鍋に使われる鶏肉には、一般的に秋田県のブランド鶏「比内地鶏」が使われています。

比内地鶏は、秋田県で育てられる地鶏の一種で、肉質がしっかりしており、風味豊かなのが特徴です。

肉が煮込まれても形が崩れにくく、旨味を鍋全体に広げることができるため、きりたんぽ鍋に適しています。

一緒に入れる「たんぽ」とは

きりたんぽ鍋に入っている「きりたんぽ」とは、切った「たんぽ」のことです。たんぽとは、炊いたご飯をすり潰し、棒に刺して焼いたもののことです。

串に刺して焼いているときの形ががまの穂に似ていて、短い穂という意味の「短穂」から「たんぽ」と呼ばれるようになったとされています。たんぽを鍋に入るよう、短く切ったため、きりたんぽと呼ばれているのです。

焼いたご飯であることから、ご飯としての栄養を摂ることができるのはもちろんですが、モチモチとした食感とご飯の旨味から、鍋に入っている肉や野菜ではなく、きりたんぽを1番好きなものとしてあげている人も多くいるほどおいしいものです。

また、鶏ガラの汁との相性が良く、きりたんぽに味が染み、何とも言えないおいしさが口に広がります。

きりたんぽ鍋の由来と地方ごとの習慣

大館・鹿角地方で生まれたきりたんぽ鍋

きりたんぽ鍋の発祥の地とされているのは秋田県の大館・鹿角地方です。炭焼きや伐採を行うため山ごもりをする人々が多くおり、山ごもりの間の食事に困っていました。

そこで、食べていた残りのご飯を潰し、棒に刺して焼いたものを鶏鍋に入れたことがきりたんぽ鍋の始まりとなっています。それが少しずつ形を変え、現在のきりたんぽ鍋になりました。

大館市では家庭料理としてきりたんぽ鍋が根付いていますが、おもてなしに欠かせない料理ということもあり、冠婚葬祭で振る舞われることも多くあります。

秋田県北部での習慣

秋田県北部では、米の収穫が終わる時期にきりたんぽ鍋を食べる習慣があります。収穫をねぎらいきりたんぽ鍋を囲むことで、家同士の交流が生まれたり、いつもなら話さないような人とも話す機会が生まれます。

きりたんぽ鍋は食事としての役割だけではなく、人と人とをつなぐことができる料理でもあるのです。

きりたんぽ祭りも行われている

現在、きりたんぽ鍋を後世に残すべく、大館市では「本場大館きりたんぽまつり」、鹿角市では「きりたんぽ発祥まつり」が開催されています。

この祭りでは、きりたんぽ鍋を味わうことができるのはもちろんですが、実際にきりたんぽ作りができる、きりたんぽ作り体験も行われています。

きりたんぽ鍋の作り方

きりたんぽの材料と鍋の材料をそれぞれ用意する

実際のきりたんぽ鍋の作り方を紹介します。まずは、きりたんぽの材料と鍋の材料をそれぞれ用意します。

きりたんぽの材料は、温かいご飯400gと、適量の水です。

鍋の材料は、鶏もも肉200gと長ネギ2本、舞茸とごぼう100g、せり50gです。スープには水800ml、しょうゆ大さじ4、料理酒大さじ4、みりん大さじ2、鶏ガラスープの素大さじ1を用意します。

野菜は鍋に合う材料なら大丈夫なので、白菜などアクが強くないものを選んでアレンジしましょう。スープも作るのが大変な場合は、市販の鶏だしの鍋のもとを利用すると簡単です。

まずきりたんぽを作る

まずは主役でもあるきりたんぽを作ります。きりたんぽを作るには、まずすり鉢にご飯を入れ、すりこぎ棒で潰します。

ご飯の粒がある程度残り粘り気が出てきたら、手に水をつけ、俵型に形を整えます

形を整えたご飯を割り箸につけます。上の方から下の方へ伸ばして、手で形を整えながらつけると、きれいにつけることができます。

割り箸につけたご飯をフライパンで転がしながら20分ほど中火で焼きます。薄く焼き目がついたら火から下ろすタイミングです。その後割り箸から焼いたご飯を抜き取ります。抜いた後、あら熱が取れたら、斜めに切って2等分にします。

これできりたんぽの完成です。

汁を作り、野菜を入れて完成

続いて、鍋に入れる野菜を準備します。ごぼうをささがきにし、5分ほど水にさらして水気を切っておきます。長ねぎは2センチ幅に切っておき、まいたけは石づきを取り除いてほぐしておきます。

せりは根を残してざく切りにしておきます。鶏もも肉は一口大に切り、食べやすくします。

食材を切ったら汁の用意をします。土鍋に水と、ごぼう、鶏肉を入れます。

中火にかけてひと煮立ちしたら、残りの汁の材料ときりたんぽとねぎ、まいたけを入れ再び中火で5分ほど煮ます。最後にせりを入れ、ひと煮立ちしたら完成です。

きりたんぽのアレンジレシピ5選

きりたんぽ丼

https://matsuya-s.co.jp/kiritanpo/より画像を抜粋

材料 ・きりたんぽ
・豚肉
・椎茸
・玉ねぎ
・ピーマン
・ごま油
・中華スープの素
・オイスターソース
・酒
・鷹の爪
・塩・こしょう

きりたんぽは鍋にして食べるだけではありません。おすすめのアレンジレシピを紹介します。

まずはきりたんぽ丼です。鍋の残りの具材をご飯にかけて丼にするだけですが、卵を使って親子丼のようにすることもできます。

>>「きりたんぽ丼より抜粋」詳しいレシピは参考サイトをご覧ください

きりたんぽの豚肉巻き

https://matsuya-s.co.jp/kiritanpo/より画像を抜粋

材料 ・きりたんぽ
・豚バラ肉
・とうもろこ
・ブロッコリー
・パプリカ
・アスパラ
・ウインナー
・うす紅生姜
・醤油
・みりん
・酒

きりたんぽに甘辛いタレをかけ、豚肉を巻いた料理です。作り方は簡単で、しょうゆ、みりん、酒を混ぜ合わせて豚肉を巻いたきりたんぽに絡めるだけです。おやつにもオススメのメニューです。

>>「きりたんぽの豚肉巻きより抜粋」詳しいレシピは参考サイトをご覧ください

きりたんぽ肉巻きのカツカレー

https://matsuya-s.co.jp/kiritanpo/より画像を抜粋

材料 ・きりたんぽ
・豚バラ肉
・塩・こしょう
・卵
・小麦粉
・パン粉
・青ねぎ
・舞茸
・水
・カレールウ

きりたんぽを油で揚げたメニューもあります。豚バラ肉をきりたんぽに巻き、油でカラッと揚げてからカレーに入れます。まるでカツカレーのような味わいになり、相性抜群です。実際に秋田空港のレストランで提供されているメニューです。

>>「きりたんぽ肉巻きカツカレーより抜粋」詳しいレシピは参考サイトをご覧ください

きりたんぽのバター醤油焼き

https://matsuya-s.co.jp/kiritanpo/より画像を抜粋

材料 ・きりたんぽ
・にんじん
・アスパラ
・醤油
・バター
・スライスチーズ

醤油とみりんだけではなく、バターと醤油との組み合わせも抜群です。きりたんぽの中に野菜や肉など様々な具材を詰め、バターと醤油で作ったソースを絡めます。ボリューム満点で食欲も湧いてきます。

>>「きりたんぽのバターしょうゆ焼きより抜粋」詳しいレシピは参考サイトをご覧ください

きりたんぽスイーツ

https://matsuya-s.co.jp/kiritanpo/より画像を抜粋

材料 ・きりたんぽ
・あんこ
・きな粉
・砂糖
・ずんだ餡

モチモチした食感のきりたんぽは、スイーツにもぴったりです。おはぎのように、あんこやきなこを使ったスイーツがよく合います。きりたんぽを食べやすい大きさに切り、茹でたり焼いたりして加熱をします。その後、あんこやきなこをかけて完成です。

>>「きりたんぽスイーツより抜粋」詳しいレシピは参考サイトをご覧ください

きりたんぽ鍋が買える場所は?

スーパー

きりたんぽ鍋の最大の難関はきりたんぽ作りです。できるなら簡単に作りたいものです。そんな場合、販売されているきりたんぽを購入するという方法もあります。

購入する場所としてまず挙げられるのはスーパーマーケットです。すでに形のできているきりたんぽが販売されているため、そのまま鍋に入れるだけできりたんぽ鍋が完成します。

きりたんぽを作る手間がなくなるので、完成までの時間がかなり短くなります。それにより、気軽にきりたんぽ鍋を楽しむことができるようになります。

ですが、どのスーパーマーケットにも売っているわけではないので、スーパーマーケットにいくつか目星をつけておくことをおすすめします。

通販

家にいて、何でも買える通販を利用するのもおすすめです。きりたんぽを取り扱っている企業から、直接通販で購入することもできるので、好きなきりたんぽを選ぶことができます。

きりたんぽのみを通販で購入する場合、送料がかかることがほとんどなので、スーパーで購入するよりも高い金額になることが多いです。

まとめ

きりたんぽ鍋は栄養バランスも整っており、体を温めるのにぴったりな郷土料理です。東北地方では、きりたんぽのお祭りもあるほど現在でもよく食べられています。

きりたんぽは作るだけではなく、購入することもできるため、作るハードルは低くなっています。材料もすぐに用意できるものばかりなので、時間がある時にでもぜひ作ってみてください。