秋田県の名物といえば、伝統的な漬物である「いぶりがっこ」です。
燻製にした大根の漬物は、通常のものとはまた違った独特な風味を楽しめます。
元々は秋田県の農家で食べられていたものですが、近年は全国的に知名度が広がり秋田県以外でも手に入りやすい食材になりました。
ここでは、秋田名物「いぶりがっこ」の特徴や美味しい食べ方などを紹介します。
・いぶりがっこの基本的な情報
・いぶりがっこの美味しい食べ方
・いぶりがっこの作り方
いぶりがっこって?
いぶりがっことは、秋田県の郷土料理の一つである燻製干しの大根の漬物のことです。
元々秋田県の内陸部の農家で作られていた漬物ですが、現在では秋田県全域で作られています。
いぶりがっこの栄養素の大半を占めるのは炭水化物です。
ご飯のお供やおつまみとして、適量食べるなら問題ありません。
しかし、炭水化物のほとんどは糖質なので、一度に大量に食べないように気をつけてください。
美味しさのあまり箸が進んでしまいがちですが、一気に食べすぎないようにしましょう。
いぶりがっこの摂取量を抑えたいなら、少量のいぶりがっこを使ってアレンジ料理を作るのがおすすめです。
いぶりがっこの特徴は?
いぶりがっこは普通の漬物とは異なり、燻製にして作るのが特徴です。
昔は民家にある囲炉裏の上で燻されていましたが、現在は大根を燻製するいぶり小屋で作られるのが一般的です。
燻製に使用されている木は、サクラやリンゴ、ナラなどさまざま。
使用する木材によって燻製の香りや味が異なるのが魅力です。
大根を燻製した後は、塩や米ぬかなど各家庭で調合した調味料の中に漬け込みます。
いぶりがっこの由来は?
いぶりがっこの起源は、室町時代頃です。
昔は長い冬を過ごす保存食として、たくあんが作られていました。
しかし、寒さが厳しい秋田県では外に吊るして乾燥すると大根が凍ってしまうため、室内の囲炉裏の上で大根を干していました。
いつの間にか囲炉裏の熱と煙で大根が燻されて、いぶりがっこが出来たそうです。
囲炉裏の熱と煙で干すことで大根の保存性が高まり、冬越しの食卓に欠かせない食材となったのです。
秋田弁で燻すことを「いぶり」、漬物のことを「がっこ」と呼ぶことから、「いぶりがっこ」と名付けられたとされています。
いぶりがっこはどんな味がする?
いぶりがっこは一言でいうと、燻されたたくあんです。
通常の漬物と比べて、甘じょっぱくてスモーキーな風味が特徴です。
パリパリとした食感も魅力の一つで、噛めば噛むほど大根の甘さが口の中に広がります。
いぶりがっこは作り手によって少しずつ味が異なるので、色々ないぶりがっこを食べ比べて味の違いを楽しむのもおすすめです。
いぶりがっことたくあんの違いは?
いぶりがっこと同じく大根を使った漬物として、たくあんが挙げられます。
たくあんは大根を天日干しさせた後、ぬか床に漬けて作ります。
しかし、秋田県の内陸部は日照時間が短い上に、他の地域と比べて降雪の時期が早いことから、大根を十分に乾燥させるのが難しいという問題がありました。
そのため、囲炉裏の熱や煙を活用したいぶりがっこが生まれたといわれています。
いぶりがっことたくあんは、大根の水分を抜くために天日干しをするか、燻製をするかという大きな違いがあるのです。
いぶりがっことたくあんは、見た目も大きく異なります。
たくあんは、白色または鮮やかな黄色のものが多いです。
たくあんは塩漬けにすると、大根の辛味成分が黄色に変化するからです。
ただ、自然のままだと色ムラが目立つため、市販されているたくあんはウコンなどの天然系着色料で黄色く着色されている場合が多い傾向にあります。
一方、スモークされたいぶりがっこは、外側の皮が茶色くなっているのが特徴です。
いぶりがっこの美味しい食べ方は?
ご飯のお供に
いぶりがっこの基本的な食べ方は、ご飯のお供にして食べることです。
たくあんのように好みの厚さで輪切りにして食べます。
漬物の一つであるいぶりがっこは、白いご飯やお茶漬けとの相性が抜群です。
タルタルソースに入れる
いぶりがっこを美味しく食べたいなら、細かく刻んでタルタルソースに入れるのもおすすめです。
いぶりがっこのタルタルソースは野菜のディップに使うのはもちろんのこと、蒸し鶏やチキン南蛮といった肉料理に合わせるのもおすすめです。
おつまみにピッタリ
スライスしたいぶりがっこの上にクリームチーズをのせると、ワインやウイスキーなどのおつまみにピッタリ。
クリームチーズにスライスしたぶりがっこをのせて、適量のオリーブオイルと黒こしょうで味付けします。
クリームチーズ以外にも、モッツァレラチーズやゴーダチーズと相性が良いとされています。
クラッカーやトマトの上にいぶりがっことチーズをのせて食べる方法もあります。
チーズをのせるのが面倒なら、クリームチーズをつけて食べるのも良いでしょう。
豆乳パングラタン
いぶりがっこを使って洋風な料理を作りたい場合は、豆乳パングラタンがおすすめです。
玉ねぎといぶりがっこを切って、食パンは9等分に分けておきます。中火で熱したフライパンにバターを入れて、玉ねぎがしんなりするまで炒めたら薄力粉を入れて1分程度炒めます。
無調整豆乳を2回に分けて入れたら、とろみがつくまで混ぜてツナ水煮と和風顆粒だしを入れましょう。
耐熱皿に食材を入れて、上からピザ用チーズをかけてオーブントースターで10分程度加熱します。
オーブントースターによって焼き加減が若干異なりますので、様子を見ながら焼き時間を調整してください。
サラダとしても使える
その他にも、ミキサーで細かく刻んでポテトサラダやマカロニサラダに混ぜたり、チャーハンのアクセントに入れるなど、さまざまな食べ方が考えられます。
いぶりがっこ自体にしっかり味がついているので、ポテトサラダやマカロニサラダに混ぜる場合は他の調味料を減らせるのも嬉しいポイントです。
いぶりがっこは自宅で作れる?
いぶりがっこは必要な食材や調理器具があれば、自宅でも作ることが可能です。
まずは市販のたくあんを使う作り方を紹介します。キッチンペーパーでたくあんの水分を拭き取ったら、1~2時間程度天日干しにします。
土鍋の底にアルミホイルを敷き詰めたら、スモークチップをのせてください。
網などにのせたたくあんを土鍋に入れてフタをしたら、アルミホイルで鍋ごと包みましょう。
弱火で30分程度加熱したら、アルミホイルで包んだまま30分程度蒸らします。
燻製後は冷蔵庫で一晩寝かせると、より燻製の香りが馴染んで美味しく食べられます。
また、大根から自家製いぶりがっこを作ることも可能です。
大根の葉を取り除いて水洗いしたら、大根を吊るして1週間程度天日干しにしましょう。
酒粕と味噌を使って漬け床を作り、保存袋に漬け床と大根を入れて3日程度放置します。
漬けた大根は取り出した後にキッチンペーパーで拭いて、燻製器でいぶしたら完成です。
いぶりがっこはどこで買える?
普段からあまりいぶりがっこを買っていない場合は、どこで購入できるか分からないという方も多いことでしょう。
いぶりがっこが手に入る場所は、大手スーパーや百貨店、秋田県のアンテナショップなどです。
小さめのスーパーにはあまり置かれていないので、購入する際は注意が必要です。
東北フェアや物産展などのイベントでも、いぶりがっこが売られている場合があります。
その他にも、秋田県の道の駅でも売られており、秋田県に旅行で行く際はぜひ道の駅を立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
近くの店舗でいぶりがっこが取り扱われていない場合は、ECサイトで購入することをおすすめします。
通販は品揃えが豊富なので、自分好みのいぶりがっこが見つかりやすいでしょう。
まとめ
冬の寒さが厳しい秋田県だからこそ生まれたいぶりがっこ。
昔は手に入れるのが難しい食材でしたが、近年は秋田県の特産品として広まり、大型スーパーや百貨店などで購入できるようになりました。
近くの店舗で手に入れられない場合は、通販を利用するのもおすすめです。
いぶりがっこはさまざまな料理に使えるので、自宅でも積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。