白神山麓の食材を中心に使ったお菓子の製造・販売、白神ブラックベリーの生産・販売
秋田県山本郡藤里町粕毛字清水岱5-6内
白神山麓の食材を中心に使ったお菓子の製造・販売、白神ブラックベリーの生産・販売
秋田県山本郡藤里町粕毛字清水岱5-6内
世界自然遺産「白神山地」の麓で地元産の食材を積極的に使ってお菓子を手作りしている菓子工房エスポワール。製菓の傍ら、希少な国産ブラックベリーの栽培にも取り組み、収穫した果実をジャムやロールケーキ、ビネガーなどさまざまな商品に加工しています。
青森との県境に位置する秋田県藤里町は、美しい森と澄んだ空気、清らかな水に恵まれた地。白神山地の玄関口としても知られています。
この自然豊かな町で菓子工房エスポワールを営んでいる菊地整さんと、息子の隆宏さん。整さんがお菓子の製造と開発、隆宏さんが営業とブラックベリーの栽培を担当しています。
2009年のオープン以来、エスポワールが貫いてきたのは地元産の食材にこだわった菓子作り。ブラックベリーをはじめ、そば、米、比内地鶏の卵、よもぎ、こはぜなど、白神山麓で育まれた素材のおいしさと真心を大切に、手間暇をかけて手作りの味を届けています。
ブラックベリーとは北アメリカ原産のキイチゴの一種。ベリー類のなかでもくっきりとした酸味が特徴で、ジャムなどに加工して食するのが一般的です。日本ではまだ生産量の少ないブラックベリーを、エスポワールでは 2013年から栽培しています。地元のブラックベリー農家さんから、「畑を引き継いでほしい」と相談されたことがきっかけです。現在は約100ヘクタールの畑で1,200株のブラックベリーを加工用、生食用に生産しています。
お客様に安心して食べてもらいたいという思いから、栽培は無農薬で、化学肥料も与えない自然農法を採用しています。
「人が手を加えるのは最低限にして自然に近い状態で育てています。それでも毎年たくさんの実をつけるのは、白神山地から流れる清水や肥沃な土壌のおかげ」と隆宏さん。収穫期は7月下旬から9月の初めまでで、酸っぱさのなかにも甘みものった、完熟の果実を1つ1つ慎重に手で摘みます。加工用は収穫したその日のうちに冷凍し、鮮度の良い状態で保存して使っています。
国内に流通するブラックベリーの多くは輸入物。国産の果実は大変貴重です。
「貴重で安全なブラックベリーを惜しみなく使えるのは、私たちが生産者だからこそ。農業部門を持つ菓子工房であることを強みにしていきたい」と整さんは胸を張ります。
一度食べるとリピーターになる人が多いという「白神ロールケーキ」は、クリームにも生地にもブラックベリーが使われています。クリームには白神山地で発見された乳酸菌「白神作々楽(ささら)」を隠し味に。「味がまろやかになるんです」と整さんはいいます。
生地は秋田県産あきたこまちの米粉と比内地鶏の卵を使用。ふわふわの生地とまろやかなクリームが、ブラックベリーの甘酸っぱさを引き立てます。この「白神ロールケーキ」は、冷凍での販売で好きな分だけ解凍して作りたての味が楽しめることも人気の理由の一つです。
「ブラックベリージャム」は果実を丁寧にこして種を除き、グラニュー糖を加えて煮詰めたもの。ペクチン不使用で、果実そのもののおいしさが際立ちます。
ブラックベリーのピューレを使った「白神黒漿酢(くろしょうす)」は、アガベシロップや国産の米黒酢など体に優しい素材で作られたビネガーです。希釈してドリンクにしたり、ヨーグルトに加えたりするほか、オリーブオイルとともにサラダにかけて味わうのもおすすめです。
かつては東京都内の会社に勤めていた隆宏さん。2021年3月から整さんと店を切り盛りしています。「転勤で秋田に戻ったおり、母が生き生きと働く姿を見ておもしろそうな仕事だなと思ったんです」。
隆宏さんは、ブラックベリーの株のオーナー制度を始めるなど、ファンづくりのために新たな試みも始めています。「じつは、ブラックベリーの生産量で秋田県は国内トップクラス。自家栽培した果実を『白神ブラックベリー』として売り出してブランド力を高め、秋田県の特産品に育てたい。今後は加工・生食用の業務用販売にも力を入れたいと考えています」と構想を語ります。
製菓部門と農業部門、その両方で期待が膨らむブラックベリー。たくさんの可能性を秘めた果実が輝いていました。
秋田県産食材をたっぷりと使ったロールケーキの詰め合わせです。「風味豊かなそば」「あきたこまちの甘味を感じる米」「ほどよい酸味のブラックベリー」「さわやかな緑を感じるよもぎ」の4種の味。秋田のおいしいが詰まっています。
世界自然遺産白神産地の麓で栽培した化学肥料・農薬不使用のブラックベリーをたっぷり使ったジャムです。ブラックベリーとグラニュー糖のみで仕上げておりますので、果実の味わいとともに、安心安全にお楽しみいただけます。
世界自然遺産白神産地の麓で栽培した化学肥料・農薬不使用のブラックベリーと、鹿児島県霧島市にある創業1805年「重久盛一醸造場」の甕酢とのコラボレーションで開発したフルーツビネガーです。毎日でも食しやすい優しい甘さに仕上げています。
世界自然遺産・白神山地の麓にある洋菓子店。白神山麓で育まれた穀物や果実、卵など、地元産食材にこだわって菓子を手作りしている。無農薬、自然農法によるブラックベリーの自家栽培にも取り組み、ジャムやロールケーキなどに加工し、販売している。